音楽と人生に関する一考察

ムーンライダーズ / くれない埠頭

青空百景青空百景
ムーンライダーズ



くれない埠頭
吹きっさらしの夕陽のドックに
海はつながれて風をみている

行くあてもない 土曜のドライヴァー
夢をみた日から きょうまで走った

Sitting on the Highway
City on the Highway
いつかは雨に打たれるさ
Sitting on the Highway
City on the Highway
誰かを待ちつづけて

吹きっさらしの 夕陽のドックに
海はつながれて 風をみている

残したものも 残ったものも
なにもないはずだ 夏は終った


Sitting on the Highway
City on the Highway
いつかは雨に打たれるさ
Sitting on the Highway
City on the Highway
誰かを待ちつづけて

吹きっさらしの 夕陽のドックに
海はつながれて 風をみている

行くあてもない 土曜のドライヴァー
夢をみた日から きょうまで走った

残したものも 残ったものも
なにもないはずだ 夏は終った

吹きっさらしの 夕陽のドックに
海はつながれて 風をみている

行くあてもない 土曜のドライヴァー
夢をみた日から きょうまで走った

残したものも 残ったものも
なにもないはずだ 夏は終った

吹きっさらしの 夕陽のドックに
海はつながれて 風をみている

行くあてもない 土曜のドライヴァー
夢をみた日から きょうまで走った

残したものも 残ったものも
なにもないはずだ 夏は終った

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黄昏にぽつんとポケット手を突っ込んで一人佇む。
誰も悪くない、どこも変じゃない、ただ湧き上がる孤独。
ムーンライダーズはそんなに好きではなかったのだけれど、詩人・鈴木博文の描き出すそんな情景は、どこかとても馴染みのあるものだった。
僕らは一体、何を待っていたのだろう。
お互いに一人ぼっちで夕日を眺めながら。

James Tylor / September Grass

October Road October Road
James Taylor
2002



♪September Grass
Well, the sun's not so hot in the sky today
And you know I can see summertime slipping on away
A few more geese are gone, a few more leaves turning red
But the grass is as soft as a feather in a featherbed
So I'll be king and you'll be queen
Our kingdom's gonna be this little patch of green

Won't you lie down here right now
In this September grass
Won't you lie down with me now
September grass

Oh the memory is like the sweetest pain
Yeah, I kissed the girl at a football game
I can still smell the sweat and the grass stains
We walked home together. I was never the same.

But that was a long time ago
And where is she now? I don't know

Won't you lie down here right now
In this September grass
Won't you lie down with me now
September grass

Oh, September grass is the sweetest kind
It goes down easy like apple wine
Hope you don't mind if I pour you some
Made that much sweeter by the winter to come

Do you see those ants dancing on a blade of grass?
Do you know what I know? That's you and me, baby
We're so small and the world's so vast
We found each other down in the grass

Won't you lie down with me right here
September grass
Won't you lie down with me now
In this September grass

Lie down
Lie down
Lie down
Lie down

Won't you lie down here right now
In this September grass
Won't you lie down here now
In this September grass

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太陽はもはや暑く照りつけない
どうやら夏もすっかり終わってしまった
雁が何羽か飛び立っていった
葉っぱはまだまだ赤く色づいてゆく
でも草原は羽毛布団のように心地よく
そこで僕は王様になりきみは女王様になる
緑に覆われたこの一角が僕らの王国
僕と一緒に寝そべらないか
9月の草原で

思い出は最も甘美な痛みのよう
僕が彼女にキスをしたのはフットボールの試合でのこと
あの時の汗の臭いや草いきれが今もはっきりと甦る
僕らは一緒に家路に着いたんだ
僕はすっかり別人になっていた
でもそれはもうずっと昔の話
彼女は今どうしているのだろうか
僕は何も知らないけれど
僕と一緒に寝そべらないか
9月の草原で

9月の草むらは一年中で一番素敵
まるでアップルワインのように心地よくて病み付きになる
きみに少し注いであげても構わないよね
甘さが増してきているのは忍び寄る冬のせい

草の上で踊っているアリたちがきみに見えるかい
僕が何に気付いているのかきみにはわかっているのかい
きみと僕のことだよ
僕らはあまりにもちっぽけで
世界はあまりにも茫漠としている

僕らがお互いを見つけ出したのは草原の中でのこと
僕と一緒に寝そべらないか
9月の草原で

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70年代の若い頃からどこか年寄りじみていた…いや、渋さが売りだったジェイムス・テイラー。50歳を過ぎても若い頃と相も変わらぬ、いやむしろよりらしさがよく出た朴訥とした語り口、そんな穏やかな一枚。
けれど、若い頃と相も変らぬとはいっても「若い頃からこれひと筋!」というのとは少し違う気がする。今の自分ではない自分の別の姿に憧れ、模索し、悩みながら迷いながら、結局やっぱり自分が一番自分らしいのはこんなありのままの姿でしかない…そんな悪戦苦闘の末にたどりついた境地。そんな感じ。
ワインの良し悪しはよく判らないのだけれど、よく熟成されたワインのように、二十年、三十年の時をかけてじっくりと熟成された、そんな渋くほろ苦く、けれどほのかに甘く、芳醇な味わい。
アルバムを通じて薫る秋の気配に人生の秋の到来を重ね合つつ、あなたとワインを傾けながら聴きたいものです。

Chaka Khan / Love Has Fallen on Me

Chaka Chaka
Chaka Khan
1978



♪Love Has Fallen On Me
Love is a burning inside
I never had this feeling before, no
All I know is that it wont let me be myself
Hey, is this really love
Oh maybe thats the reason
I feel so good when youre around
(feel so good when youre around)

Why cant I remember
The day I melted before your charms
Oh was it way back in september
When you held me in your arms
Now that I see that youre the one for me
Its no more a mystery
Love has fallen down on me
Ooh Im in love with you

Love has fallen on me
Now I really see
Love has fallen on me

Oh what tender love you bring
No, its not a game
Oh what tender love you bring
No, its not a game
Hey what tender love you bring
I fell in love with you
Fell in love with you

One day in september love came falling down on me
One day in september love came tumbling down on me

Ooh what tender love you bring
Oh now lord I cant, no no,
And I cant believe my eyes
No no one day in september,
It came on down
Oh fallin down, love came falling all around

I fell in love with you
Fell in love with you

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恋は内側に熱く燃える炎
今までこんな気持ちになったことなんてなかった
今まで知らない感覚
自分自身を見失いそう
だけど、これが恋
あなたといると最高にいい気持ち
たぶんそれが証拠よ

何故か思い出せないの
あなたの魅力にまいってしまう前のことを
それは9月だったわ
あなたの腕に抱きしめられて
あなたしか見えないの
ミステリーなんかじゃないわ
恋が私に落ちてきたの
あなたと愛し合ってるわ
恋が落ちてきたの

あなたの優しい愛
遊びなんかじゃないわ
あなたと愛し合ってるの

9月のある日
恋に落ちてしまったの
あなたと

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恋はある日突然に落ちてくるもの…なのかどうかは僕にはよく判らないけれど、気が付いた時にはもうどうしようもなく堕ちてしまっているものなのかもしれない。いつでも引き返せると思いながら、どんどん深みにはまってしまう。

Rufas在籍中のチャカ・カーン、初々しい1978年作。
大御所の貫禄溢れる今も素敵だけど、この頃の飛び跳ねるように表現される元気さは、ファーストアルバムならでは。キュートでやんちゃでセクシーで、しかもめちゃくちゃ馬力がある、そんな女性シンガーはあまりお耳にかかったことない。こんな女の子と恋に落ちてしまったら、きっと振り回されっぱなしなんだろうな。

Epiphany: The Best of Chaka Khan, Vol. 1 Epiphany: The Best of Chaka Khan, Vol. 1
Chaka Khan

Janis Joplin / Me and Bobby McGee

ジャニス・ジョプリン・グレイテスト・ヒッツ(紙ジャケット仕様)Janis Joplin Gratest Hits
Janis Joplin/Big Brother and Holding Company



♪Me and Bobby McGee
Busted flat in Baton Rouge, waiting for a train
And I's feeling nearly as faded as my jeans.
Bobby thumbed a diesel down just before it rained,
It rode us all the way to New Orleans.

I pulled my harpoon out of my dirty red bandanna,
I was playing soft while Bobby sang the blues.
Windshield wipers slapping time, I was holding Bobby's hand in mine,
We sang every song that driver knew.

Freedom is just another word for nothing left to lose,
Nothing don't mean nothing honey if it ain't free, now now.
And feeling good was easy, Lord, when he sang the blues,
You know feeling good was good enough for me,
Good enough for me and my Bobby McGee.

From the Kentucky coal mines to the California sun,
Hey, Bobby shared the secrets of my soul.
Through all kinds of weather, through everything that we done,
Hey Bobby baby kept me from the cold.

One day up near Salinas, Lord, I let him slip away,
He's looking for that home and I hope he finds it,
But I'd trade all of my tomorrows for one single yesterday
To be holding Bobby's body next to mine.

Freedom is just another word for nothing left to lose,
Nothing, that's all that Bobby left me, yeah,
But feeling good was easy, Lord, when he sang the blues,
Hey, feeling good was good enough for me, hmm hmm,
Good enough for me and my Bobby McGee.

La la la, la la la la, la la la, la la la la
La la la la la Bobby McGee.
La la la la la, la la la la la
La la la la la, Bobby McGee, la.

La La la, la la la la la la,
La La la la la la la la la, hey now Bobby now Bobby McGee yeah.
Na na na na na na na na, na na na na na na na na na na na
Hey now Bobby now, Bobby McGee, yeah.

Lord, I'm calling my lover, calling my man,
I said I'm calling my lover just the best I can,
C'mon, where is Bobby now, where is Bobby McGee, yeah,
Lordy Lordy Lordy Lordy Lordy Lordy Lordy Lord
Hey, hey, hey, Bobby McGee, Lord!

Yeah! Whew!

Lordy Lordy Lordy Lordy Lordy Lordy Lordy Lord
Hey, hey, hey, Bobby McGee.

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バトンルージュでひと騒ぎして、汽車を待っていたの。
ジーンズと同じくらい色褪せた気持ちで…。
遠くから歌いながらやってくるディーゼル車をボビーが見つけたの。
そしてニューオリンズまで旅をしたわ。
赤い汚れたバンダナに包んだハーモニカを取り出して、
ボビーが歌うブルースに合わせてそっと吹いたの。
ワイパーがリズムを刻み、あたしはボビーの手を取っていた。
私たち、運転手の知っている歌をひとつ残らず歌ったの。

自由っていうことは、失うものなど何もないってこと。
自由でなきゃ何にも意味なんてないわ。
いい気持ちになるのは簡単なことだった。
あいつがブルースを歌うだけでほんとサイコーに気持ちよかったわ。
あたしと、ボビー・マギー。

ケンタッキーの炭鉱からカリフォルニアの太陽まで、
あたしたちは秘密を分け合ったの。
どんな天気だって、何をやったて、
ボビーはどんなことからもあたしを守ってくれたの。
けど、あの日、そう、サリーナの近く。
あたしはあいつの手を離してしまったの。
ずっと故郷を探していたあいつ。
うまく見つかったのならいいんだけれど。
あの一日のためになら、あたし、
明日のすべてを売り払っても構わないわ。
ボビーに寄り添うためならば・・・。

自由っていうことは、失うものなど何もないってこと。
自由でなきゃ何にも意味なんてないわ。
いい気持ちになるのは簡単なことだった。
あいつがブルースを歌うだけでほんとサイコーに気持ちよかったわ。
あたしと、ボビー・マギー。

自由っていうことは、失うものなど何もないってこと。
何もない、何もないわ。
けどあたし、ボビーを見送ってしまったの・・・。

あたしと、ボビー・マギー。

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ジャニス・ジョプリン。その魂を絞り出すような歌、酒とクスリと男に翻弄される奔放な私生活、わずか27歳でのドラッグによる夭逝。僕らがジャニスを知った時、それは既にロック史の中の痛々しくも激しい伝説だった。
伝説に振り回されるのはやめて、一人のシンガーとして耳を澄ましてみよう。するとそこには、伝説に埋もれ酒やドラッグやハードなロックに溺れる姿とは違う、かわいらしい一人の女の子としてのジャニスの姿が浮かび上がってくる。
中でも一番好きなのは“Me and Bobby McGee”。
共に旅をして別れてしまったパートナー。失って初めて知る大切な気持ちをせつなく思い起こさせる。そして、それがもう過ぎ去ってしまったということを狂おしいまでに掻き立てるジャニスの声は、まるで夏の去り際に吹く夕方の涼しい風みたいに乾いたあきらめをはらんで通り過ぎてゆく。

「自由、言い換えれば、失うものなど何もないこと。自由でなけりゃ何の意味もないわ。自由になるのは簡単な事だった。あんたがブルースを口ずさむだけで、あたしはいい気分だったわ。」
まったくその通りの言葉をジャニスに贈りたい。

Bruce Springsteen [The Rising]

Rising Rising
Bruce Springsteen
2002



先月愛知県で起きた女性の強盗殺人事件。金目的で帰宅途中の女性を拉致、顔を見られたからと殺害し山林に遺棄、犯行グループの一人が「死刑になりたくない」と自首して発覚、犯行グループは携帯の闇サイトで知り合った男たちだった…。
あまりにも非道い事件だと思う。悪魔に牙をむかれたように単なる偶然で、しかも帰宅まであと少しというところで酷い殺され方をした女性の恐怖と無念さ、母親の怒りと悲しみ、翌日デートの場で待っていたという交際相手の呆然さを思うとき、一体どうしていいのかわからなくなる。犯人たちの行動の周到さと安易さのアンバランスさ、想像力の欠如、あまりもの身勝手さ。いろんな考察はあると思うけれど、新聞記事を読みながら僕は思わず「何が死刑になりたくないだ?相手が一人なら、自首すれば死刑にならないとでも思っているのか?こんな奴等は死刑にしてしまえ!」と口走っていた。
その週末、報道番組を見ていた。この事件を特集していた。締めくくりで元警察官のコメンテイターが「こんな犯罪は死刑にすべきです!」とコメントしたのを聞いて、僕はなんだかぞっとした。死刑にすべき、死刑にすべき、死刑にすべき…自分が思わず吐いたのと同じような感情のほとばしりがメディアで拡大される。テレビの前でたくさんの人たちがそうだと叫ぶ、或いは無言で頷く。こうやって憎悪が世論になっていく、その怖さを思った。
過去の判例だけで死刑か否かを判断すべきではないと思う。この事件に関して死刑という量刑は決して重過ぎるとは思わない。けれど、それが客観的事実と司法判断ではなく「感情論」で広がっていくことの怖さ。

例えばもうすぐやってくる9・11。自らの国土を初めて踏みにじられた国民の「感情論」が圧倒的な支持をしたアフガニスタンとイラクへの根拠なき暴力。あれから6年、テロリストは撲滅されてはいないどころか、ブッシュのやっていることはテロリストを養成するようなものだとしか思えない。あの衝撃的な映像と共に世界中に広がったイスラム・ゲリラへの、ひいてはイスラム教国家への憎悪。アフガニスタンやイラクで繰り広げられた戦争が奪った無数の市民の命、米軍を含めての失われた戦士の命。空爆だの重要施設への攻撃だのと言ってみたところで、被害者からすれば報復戦争以外の何者でもない、テロ撲滅のためのテロ。愛するものを奪われて残された者たちの「感情」がさざなみとなって次の報復の連鎖を生み出している。そんなこと誰もが気付いているはずなのに。

9・11の1年後に発表されたブルース・スプリングスティーンのアルバム[The Rising]には、9・11をモチーフにした数々の歌が収められている。それは闇雲な愛国賛歌や英雄賛歌ではなく、事件にまつわる人々の暮らしを、一人ひとりの視点で描き出している。「三千人の罪なき被害者」や「英雄のように立ち向かった消防士」や「イスラムゲリラのテロリスト」「戦地へ赴く若者」といった、カギ括弧付きの名称ではなく一人の人間が一人の人間として置かれた立場の描写。
加害者にも被害者にも自分と同じように愛する人がいてまた誰かに愛されているということを知ること、感じること。それ以外に平和な世の中へのスタート地点はないと思う。

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♪You're Missing
Shirts in the closet, shoes in the hall
Mama's in the kitchen, baby and all
Everything is everything
Everything is everything
But you're missing

Coffee cups on the counter, jackets on the chair
Papers on the doorstep, you're not there
Everything is everything
Everything is everything
But you're missing

Pictures on the nightstand, TV's on in the den
Your house is waiting, your house is waiting
For you to walk in, for you to walk in
But you're missing, you're missing
You're missing when I shut out the lights
You're missing when I close my eyes
You're missing when I see the sun rise
You're missing

Children are asking if it's alright
Will you be in our arms tonight?

Morning is morning, the evening falls I have
Too much room in my bed, too many phone calls
How's everything, everything?
Everything, everything
You're missing, you're missing

God's drifting in heaven, devil's in the mailbox
I got dust on my shoes, nothing but teardrops

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クローゼットにはシャツがあって、廊下には靴がある
キッチンにはお母さんがいて、赤ん坊がいて、
全部そのまんまそこにある
いないのはあなただけ

カウンターにはコーヒーカップがあって、椅子には上着がかかっている
玄関口に新聞が届いた
でもあなたはいない
全部そのまんまそこにある
いないのはあなただけ

ナイトスタンドの上には写真立て、今にはテレビがあって
あなたの家は待っている
あなたが入ってくるのを
いないのはあなただけ

灯りを消す時
目を閉じるとき
朝、太陽が昇る時
あなたがいないことをただ思い知らされる

子供たちが「だいじょうぶ?」って尋ねるの
今夜、私たちのところへ戻ってきてほしい

朝が来て、夜が来る
広すぎるベッド、電話が鳴り過ぎる
だいじょうぶ?みんなだいじょうぶ?
ええ、だいじょうぶ
いないのはあなただけ

神様は天国でさまよっていて
悪魔は郵便ポストに潜んでいる
靴の上にホコリが溜まり
ただ涙がこぼれ落ちる

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[The Rising]の解説の中に、9・11の直後にハワードという人が語った、エイミー・ビール財団の話が載っている。
エイミー・ビールはネルソン・マンデラを尊敬し、大学卒業後南アフリカの民主選挙を支援するためボランティアとして一年間働いた。帰国の二日前、四人の黒人の若者の強盗にあい殺害された。求刑はわずか懲役18年。
その後、娘の理不尽な死にうちひしがれるエイミーの両親の元へ、犯人の一人の若者の母親が泣き崩れながらエイミーの母親に許しを乞うビデオが届いた。そのことがきっかけになり、エイミーの生と死が意味を持つために、この怒りと悲しみを乗り越えなければならない、また、事件を引き起こした社会的・文化的な背景を知らなければいけないと感じた両親は、やがて南アの貧困と差別をなくすためエイミー・ビール財団を設立し、恩赦で釈放されたその四人の殺人犯を最初に雇用したのだという。

「どうしてそんなことが可能なのだろうかと思った、言葉では理解できる、しかし自分の娘に同じことが起こったら彼らのように行動することは無理だ。しかし、今日の悲劇を目撃した後、僕はエイミーの両親が立っているのと同じ場所へ行かなければならないと感じた。」とハワードの言葉は締めくくられている。

Jimmy Cliff /Teror(September 11th)

Black MagicBlack Magic
Jimmy Cliff



♪Teror(September 11th)
September 11th
Well it was Hell in Heaven
A Hell of a day
In the US of A
Terror hit the World Trade Center
In New York City
And the Pentagon
In the city of Washington
I saw it on T.V.
I thought that I was watching a movie
Like it was World War III
In the land of the brave and the home of the free
Where was 007
September 11th
And Superman
When they called 911
Now there's a war against terror, terror
Terror fighting terror
Terror, terror
Oh what a horror

Terror, terror, terror
We must have a better tomorrow
We must have a better tomorrow now

11th of September
The world will always
The year 2001
A new era begun

This was a wake-up call
To nations great and small
Terror been with you all the time
But you never paid it no mind
Oh, it the Armageddon
A clash of civilization
With terror fighting terror
Tell me who can be the hero

I read it in Revelation
That there would be lamentation

A tale of God and the Devil
But good must overcome evil

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9月11日、それは生き地獄の一日
恐怖は世界貿易センタービルにぶち当てられた
それから米国国防総省
僕はTVでそれを見ていたんだ
まるで映画を見ているみたいだった
第三次世界大戦の始まりだと思った
007もスーパーマンもいやしない
かつて勇者の陸、自由の家だった国で
テロへの戦争
テロとの戦い
なんて恐ろしいことなんだ

私たちはよりよい明日を持たなければならない

2001年に始まった新しい時代
それはひとつのモーニングコールだった
大きな国も小さな国も
恐怖はいつも目の前にある
今まで気に留めてこなかっただけでしかなかった
世界最終戦争
文明の衝突音
テロとの戦い
英雄は誰?
悲嘆にくれて暴露する
神と悪魔の物語
しかし、善は悪に打ち勝たなければならない

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2001年9月11日、世界貿易ビルにジャンボ機が衝突する。その映像は確かに衝撃的だった。
ジミー・クリフが歌うように、映画の一シーンのようにも、第三次世界大戦の始まりのようにも思えた。明らかに暗い時代がこれから始まるんだと思った。妻はそのとき身籠っていた。007もスーパーマンもいない世の中に生まれてくる子供のことを思い、不安に包まれた。

なんだかんだ言っても現代の世界はアメリカを中心に動いている。いわゆるパクス・アメリカーナ、って奴だ。アメリカが発明した「自由という名の競争社会」と「大量消費が支える便利で快適なくらし」を世界中に輸出し、それを支える「大量生産と労働による貨幣経済への取り込み」や「土地の疲弊を省みない乱獲や収奪」に世界の隅々を巻き込みながら。そして僕たちの不必要なまでに快適で贅沢で怠惰な暮らしも、パクス・アメリカーナによって支えられているのだ。でなけりゃ、原油を中東からの輸入に頼り、食料自給率40%を下回るこの国の栄華はありえない。だから、自衛隊のインド洋上での給油活動は継続されるだろう。そして否応なく「神と悪魔の戦い」にまきこまれてしまわざるをえないのだろう。それはどちらもが自分たちの側を神と呼び善であると呼ぶ不毛な戦いでしかないのだけれど。

Youssou N'Dour [Nothing's in Vain]

ナッシングス・イン・ヴェインNothin's in Vain
Youssou N'Dour



ユッスー・ンドゥールは西アフリカのセネガルの国民的スーパースター。伝統の民族音楽とロックやR&Bを融合したアフリカの都市の音楽を、世界中に発信し続けているアーティストだ。イスラム的な節回しとアフリカ的なパーカッッシヴなリズム、ソウルフルで時に真実をえぐるように鋭利な声とサウンドには意志と力が漲っている。その力の源である、祖国の伝統や国民への愛、イスラムへの信仰心の篤さにはただただ圧倒されるばかりだ。
2001年には米国のテロ報復によるアフガニスタンへの攻撃に反対して全米ツアーをキャンセルしたユッスー。そして2002年に発表されたこのアルバム。ジャケットの、廃墟と化したカブールの街でサッカーに興じる少年たちの写真…ここに彼のメッセージがすべて込められているように思う。

もう15年以上も前になる。
無職の頃、アメリカ合衆国を3ヶ月かけて横断した。ロサンゼルスからニューヨークまで、グレイハウンドバスを乗り継いで。
自分でも意外だったのは、決して英語が堪能ではない僕でも、思った以上に何の困難もなく暮らせたことだった。都市部では人と会話をしなくても生活が成り立つのだ。マクドナルドに入れば言葉を発しなくても金出して指をさせばハンバーガーを食べられるし、コンビニだってホテルだってタクシーだって長距離バスだってみんなそう。みすぼらしいなりをした僕に親しげに話してくれたのはホームレスや路上芸人やミュージシャンや旅人ばかりだった気がする。そんな土地との接点の薄い無言の旅をしながら、まるで自分の育った文化への巡礼をしているような気がしてきた。いわゆる日本の伝統文化よりもはるかに、孤独で快適なアメリカの大量消費文化に自分の育ちのルーツを感じてしまったのだ。
次の年、アルバイトでせっせとお金を貯めて、今度はエジプト・トルコ・パレスチナを訪れた。アメリカへの旅が何のカルチャーギャップも感じなかったことの反動から、まったく異質な文化圏へ足を踏み入れたくなったから。そしてこの旅は何から何までおもしろいことだらけだった。
今までの暮らしの常識がまったく通用しない、すべてが新鮮で刺激的だった。昼間でも時間が来たら閉める店、買い物のたびに必要な価格交渉、誰彼構わずとにかく話しかけてくる人々。昼間から茶店にたむろする大人たちが路上にはじき飛ばす煙草の吸殻。朝出かける時から夕方帰る時までずっと同じ場所に座っているお爺さん。親切だけど当てにならない道案内。まとわりついて質問攻めにし、軽くいなそうとすると悪口をたたく子供たち(アラビア語でも悪口を言っていることは判るのだ)。いつでもどこでも超満員のバスと、絶対に割り込めない芸術的なまでの路上サーキット。砂埃を上げる未舗装のメインストリート。観光客を狙って怪しげにたむろするせこい商売人たちは必ず売値の倍の値段を吹っかけては「なぜ買わない?」を連呼する。うっとおしいけど憎めない、疲れるけれどそれは日本の暮らしやアメリカの旅での疲れとは異質の疲れだった。ぼったくられふっかけられせびられもしたし、あわや強盗されるのかという目にも遭ったけれど、彼らのせこく、こすっからく、そして迷いのない生き方(もっとも、迷う選択しすら実は与えられていないという現実もあるのだろうが)には共感した。そしてかつて日本にもこんな暮らしがあったことを思った。

イスラムの国々へ足を踏み入れてひとつだけ日本人の誤解がよく分かったことがある。日本人はイスラムの国=第三世界=遅れた文明の国、と思っているけれど、彼らからすればアメリカにしろ日本にしろポっと出てきた新興国でしかなくって自分たちの国こそが世界の中心なのだ。尺度は自分たち。アメリカや日本からからかすめとろうとはしても媚びる事はない。僕らが学校で教わった世界史は欧州中心史観だけれど、欧州がただの森と草原だった頃から、彼の地には既に大いに栄えた文明があったのだ。その誇りは未だ失われてはいないようだった。
戒律が厳しいことで知られるイスラムの教えにしても「自由の国」の僕たちからは酷く窮屈に見えるけれど、その昔栄華と繁栄を極めた末に資源の枯渇に陥った彼らが、人間が欲望のままに振舞うと人類は滅びるから戒律で行動を律し戒める必要がある、と広まったものなのだと知った。つまりイスラムはすでに世界の終わりに一度直面した後の来るべき時代への考え方がちりばめられた宗教なのだということ。
それを知らない遅れてきた僕たちは、イスラムの人々が敢えて踏みとどまったボーダーをいとも簡単に飛び越えて、蒸気機関と石炭石油を武器に世界中を荒らしまくって欲望のままに食い散らかし使い尽くした結果、地球全体を巻き込んでの滅亡の危機に瀕してしまっている。実際、僕らが今享受している文明が曲がり角に来ている今、イスラムような戒律が僕らの社会に必要なのではないか、などと本気で思うことがある。欲望のままではない、ある一定の制約を敢えて受け入れること。
ちなみにイスラムとは、「神に意志を受け入れ神に委ねる」という意味なのだそうだ。「神」と言われると拒否感が出るが、イスラムには「神」を神格化することを避けるため神の肖像そのものがない。神(アッラー)は人の姿をしていない、大きな宇宙意志と考えるべきなのだそうだ。

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African Legends - Youssou N'dour in London

ザ・ブルーハーツ / 青空

Train-Train Train-Train
THE BLUE HEARTS
1988



ブラウン管の向こう側
カッコつけた騎兵隊が
インディアンを撃ち倒した
ピカピカに光った銃で
出来れば僕の憂鬱を
撃ち倒してくれればよかったのに

神様にワイロを贈り
天国へのパスポートを
ねだるなんて本気なのか
誠実さのかけらもなく
笑ってる奴がいるよ
隠しているその手を見せてみろよ

生まれた所や皮膚や目の色で
いったいこの僕の何がわかるというのだろう

運転手さんそのバスに
僕を乗っけてくれないか
行き先ならどこでもいい
こんなはずじゃなかっただろう
歴史が僕を問いつめる
まぶしいほど青い空の真下で

青い空の真下で

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ネイティヴ・アメリカンはヨーロッパ人が入植してくるまでそれぞれの部族が奪ったり奪い合ったりしながらも彼らなりの価値観でお互いを尊重しあいながら自然と共に暮らしていた。やってきたヨーロッパ人たちは、武器を背景にそれぞれの部族の仲間割れを引き起こさせ、やがて表向き正論ないろんな条約や無理難題をふっかけては彼らの土地を収奪し、暮らしを奪い、文化を絶やさせていった。
ネイティヴ・アメリカンたちの論理では、戦いは正々堂々と行うものだった。お互いが共存していくために、相手を根絶やしにするようなことはなかった。だから、左手にナイフを隠し持ちながら、右手で握手を求めるような奴らがいることなんて想像もできなかったのだと思う。

仕事で嫌なことがあった。
もういいかげん大人だから、組織の論理も分かる。自分なりに考えて良かれと思ってとった行動や判断が結果として失敗を招いたり間違いだった時は、ぶつくさ言わずに素直に認めて過ちを修正すればいいだけのこと。言い訳もしないし責任から逃れようとも思わない。謙虚に人の言うことに耳を傾けることは大事だと思う。
そんなことはわかっている。
わかっているからこそ、それでも心に広がる空虚な気持ちはいったい何なんだろう?
言いたいことを言えといわれ、言ったら言ったでその考えは違うという。最初から耳を傾けるつもりなんてない。対等に付き合う気なんてさらさらなくて、俺の脳みそを侵略しようとしているのが見え見えだ。左手に隠したナイフで、ネイティヴ・アメリカンから文化を奪い取り土地を収奪した白人入植者たちのように。
飼いならされた召使いなんかじゃない、上層部の指示通りに部下に指示命令を下すロボットじゃない。現場でナマの人間を見て、ナマの声を聴いて、あっちもこっちも矛盾を抱えながらその矛盾になんとか落とし前をつけようと体張ってるんだぜ。組織で決めたことの名の下に、現場で起きている真実に耳を傾けないで、本当に本当の目的を達成することはできるのだろうか?そんなもので手に入るのは目先の利益とあんた方の手柄だけじゃないのか?そのことのために自分を歪めるのは、あまり楽しいことではない。

なんだかんだいっても詰まることろ、自分が楽しめるかどうか、だ。それだけが一番大事なこと。伊達に20年もブルーハーツを聴いてきたわけじゃない。組織の犬なら俺でなくてもそこらじゅうにごろごろしているじゃないか。
出世するのは後ろに回した左手にナイフを隠し持ちながら、右手で握手を求めるような奴ばかり。
隠しているその手を見せてみろよ。

RCサクセション / 九月になったのに

楽しい夕(ゆうべ)に楽しい夕(ゆうべ)に
RCサクセション



九月になったのに 
いいことなんかありゃしない
九月になったのに 
何も変わりゃしないのさ
相変わらず蒸し暑いし
相変わらず夜は眠れない
相変わらずだよ

九月になったのに 
大嫌いな夏が続いている
九月になったのに 
暑苦しい毎日さ
相変わらず汗をかきながら
相変わらず歌っています
相変わらずだよ

そちらはどうですか
君はどうですか
そちらも九月になりましたか
九月はまだですか

------------------------------------------------
夏の疲れがどっとでてきたのか、眠い。
いくら眠っても眠り足りない。とにかく眠い。
台風が近づいているせいだろう、蒸し暑さが追い討ちをかける。
にわか雨が通り過ぎてゆく。
相変わらずの毎日が毎日毎日、読み終えた新聞のようにただ積み重なっていく。

ザ・ブルーハーツ / 夕暮れ

DUG OUT DUG OUT
ザ・ブルーハーツ
1993



♪夕暮れ
はっきりさせなくてもいい
あやふやなまんまでいい
ぼくたちはなんとなく 幸せになるんだ
何年経ってもいい
遠く離れてもいい
ひとりぼっちじゃないぜ
ウインクするぜ

夕暮れがぼくのドアを
ノックするころに
あなたをぎゅっとだきたくなってる

まぼろしなんかじゃない
人生は夢じゃない
ぼくたちははっきりと 生きてるんだ
夕焼け空は赤い
炎のように赤い
この星の半分を
真っ赤に染めた

それよりももっと赤い血が
からだ中を流れてるんだぜ

-----------------------------------------------
うたたねから覚めたら、雨はやんでいた。カラスが鳴きながら空を渡る。雲のすき間から夕日がまわりの雲をオレンジっぽく染めながら沈んでいった。
なんとなくいつものように過ぎてゆく毎日。それでいい。さっさと毎日が過ぎていけばいい。
僕らは確かにあのときあそこにいて、何かを感じあった。例えばあの日見た夕焼けは、これからもずっと心のどこかに引っかかったままだろう。
生きていくことはそんな思いの積み重ねで、それは今ここにはなくても、遠く離れていても、決して失われるわけではない。

たくさんの人がみんなそれぞれそんな思いを心のうちに持っていて、普段は心の奥にしまっている。そんな思いが、どっと滲み出て溢れるように広がるのが、夕焼けになるかもしれない。
ふとそんな気がしてもう一度窓の外を見たら、空はもうとっぷり暮れていた。

The 東南西北 / 内心、Thank You

GOLDEN☆BEST/THE東南西北-Ever Lasting Blue GOLDEN☆BEST/THE東南西北-Ever Lasting Blue
THE 東南西北
1985



夕暮れの風景、というとこの曲を思い出す。
The 東南西北。初期のビートルズみたいにやんちゃで怖いもの知らずな感じがけっこう好きだった。
夕日の当る丘の上の校舎、がらんとした教室、風に揺れるカーテン…なんて風景を思い出す。
実際高校生の頃に、こんな甘酸っぱい恋をしたわけではないけれど。

-------------------------------------------------
二人で生きていけたらもう僕は 世界中敵に回してもいいよ
悩む君の瞳に 内心、THANK YOU
風当たり強い坂道を登って あと5分だけ一緒にいたいな
そんなわがままも 内心、SORRY

三叉路で見詰め合ったまま動けない影二つ
All I can say is Thank you

しばらく会うのを我慢してなんて
冷却期間せがんだ君の気持ちわかるから 内心、THANK YOU
このままサヨナラになってもいいよ
短いけど素敵な日々を
僕は忘れない 内心、GOOD-BYE

フラれそうな予感したから覚悟だけ出来てるよ
All I can say is Thank you
三叉路で見詰め合ったまま動けない影二つ
All I can say is Thank you

----------------------------------------------
♪The Ton-Nan-Sha-Pei - ため息のマイナーコード

Rickie Lee Jones / Company

Rickie Lee Jones Rickie Lee Jones
Rickie Lee Jones
1979



ひと雨ごとに涼しくなっていく。まだまだ昼間は蒸し暑いけれど。
電車から降りたら、濡れて歩くのがちょうどいいような雨が降っていた。だから、駅からの道をとぼとぼと濡れて歩いた。
雨の中で煙草をくわえてみる。真ん中くらいまで吸ったところで雨粒が煙草を濡らしてしまう。僕は、火の消えてしまった煙草を指ではじいて路上に飛ばす。吸殻は道端で濡れてボロボロになってしまう。
そんな愚かな行為が決して楽しいわけではないけれど、それはそれで心地よいとまではいわないが、それほど悪い気持ちでもなかった。

秋の雨の夜、聴きたくなるのは例えば、リッキー・リー・ジョーンズのこのレコード。物憂げで秋の夕暮れのように心細げで、けれど芯のしっかりした強い意志を感じるリッキー・リーの声。時にお月様のように僕を照らし、時に秋の風のように僕の傍らをすりぬけてゆく。

ひと雨ごとに涼しくなっていく。まだまだ昼間は蒸し暑いけれど、油断しているうちに秋はいつもすぐに深まってしまうのだ。
そういえば、もう長い間、曇り空続きでお月様を見ていない気がする。雲ひとつない晴れ渡った空に煌々と輝くお月様が見たい。

----------------------------------------------
♪Company
I'll remember you too clearly
But I'll survive another day
Conversations to share
When there's no one there
I'll imagine what you'd say

I'll see you in another life now, baby
I'll free you in my dreams
But when I reach across the galaxy
I will miss your company

Company
I'll be looking for company
Look and listen
Through the years
Someday you may hear me
Still crying for company

So now you're going off to live your life
You say we'll meet each other now and then
But we'll never be the same
And I know I'll never have this chance again
No, not like you

So, I'll see you in another life now baby,
I'll free you in my dreams
But when I reach across the galaxy
I will miss your company

Company
I'll be looking for company
Look and listen
Through the years
Someday you may hear me
Still crying for company

------------------------------------------
あなたのことはあまりにも鮮やかに思い出すのでしょう
けどあたしは違う日々を送るの
誰もいなくなった後で交し合った会話
あなたならなんて言うのか想像してみるの

あなたに違う生き方を見てしまったの
だからあたしの夢から自由にしてあげる
けどあたしが銀河系を渡るときにはきっと
あなたとの日々を懐かしく思うのでしょう

共に力を貸し合える相手
そんなお付き合いができる人を探しているの
きっと何年かしてあなたは
相変わらずお付き合いのことで泣かされている
あたしのことを噂で聞くのでしょう

あなたはあなたの人生を歩むのね
あなたはいつかまたお互い会おうなんて言うけれど
あたしたちは決して同じままじゃいられない
こんなことはもう二度とないってわかっているの
あなたみたいな、じゃダメなの

あなたに違う生き方を見てしまったの
だからあたしの夢から自由にしてあげる
けどあたしが銀河系を渡るときにはきっと
あなたとのお付き合いを懐かしく思うのでしょう

共に力を貸し合える相手
そんなお付き合いができる人を探しているの
きっと何年かしてあなたは
相変わらずお付き合いのことで泣かされている
あたしのことを噂で聞くのでしょう

------------------------------------------------
Duchess of Coolsville: An Anthology Duchess of Coolsville: An Anthology
Rickie Lee Jones

Tom Waits / Grapefruit Moon

Closing Time Closing Time
Tom Waits
1972



♪Grapefruit Moon
Grapefruit moon, one star shining, shining down on me.
Heard that tune, and now I'm pining, honey, can't you see?
'Cause every time I hear that melody, well, something breaks inside,
And the grapefruit moon, one star shining, can't turn back the tide.

Never had no destination, could not get across.
You became my inspiration, oh but what a cost.
'Cause every time I hear that melody, well, something breaks inside,
And the grapefruit moon, one star shining, is more than I can hide.

Now I'm smoking cigarettes and I strive for purity,
And I slip just like the stars into obscurity.
'Cause every time I hear that melody, well, puts me up a tree,
And the grapefruit moon, one star shining, is all that I can see.

-------------------------------------------
グレープフルーツのようなお月様
ひとつの星が輝いて
僕を照らしてる

あの歌がもう一度聴きたくて
焦がれている僕のことがわかるかい?
あのメロディをきくたびに
心の中でなにかが壊れてしまうから

グレープフルーツのようなお月様
ひとつの星が輝いて
潮の流れは止められない

乗り越えられない運命なんて
実はなかったのかもしれない
あなたは僕のインスピレーション
けど、それにかかる代償は…

あのメロディをきくたびに
心の中でなにかが壊れてしまうから

グレープフルーツのようなお月様
ひとつの星が輝いて
もはや隠しきれはしない

心を清くするために
煙草をふかしてみる
星が暗闇に吸い込まれるように
なにがなんだかわけがわからなくなってくる

あのメロディをきくたびに
調子にのって木に登っていた

グレープフルーツのようなお月様
ひとつの星が輝いて
もはやそれしか見えやしない

--------------------------------------------------
澄んだ空、煌々と照らすお月様が西の窓からよく見える。
明日も早いのだけれどなんとなく眠る気になれなくて、いろんなことを思い出していた。トム・ウェイツの“グレープフルーツ・ムーン”を聴きながら、叶った夢や叶わなかった夢や、選ばなかった道の行く先の風景を想像してみる。心のすき間からこぼれ落ちるようなピアノの音色と、悲しみすら通り越してきたようなしゃがれた声。きつい酒でもあおって酔い潰れてしまいたいような、酔っ払ってしまったら少しもったいないような、そんな真夜中。

明日あたりが満月だろうか?
月は満ち、やがて欠けてゆく。そしてまた満ち、欠けてゆく。それは誰も止められない。誰も止められない。
けれど、見上げた空に月がある。ただそのことが安らぎや、時には力を与えてくれる。それだけでじゅうぶんなのだと思う。

矢沢永吉 [Rising Sun]

RISING SUN RISING SUN
矢沢永吉
1981


80年代前半のAOR路線の矢沢永吉がけっこう好きだ。
今やCMなんかで渋いオヤジぶりを振りまいているけれど、あの頃矢沢永吉は、良識ある大人からすれば眉をひそめたくなるような不良の代表で、ある種の少年たちにとっては神様にも匹敵するスーパースターだった。矢沢=ロック=不良、そんな図式は当時確かにあった。
一時期よく読んだ重松清さんも当時矢沢永吉の大ファンだったらしく、著書にも当時の不良少年たちの様子が微笑ましく描かれている。筆箱やらカバンやらあちらこちらに「E.YAZAWA」のステッカー貼って、「〜だぜ、ヨロシク。」なんてかっこつけてた。きっとどこの学校にも一人や二人はいたと思う。僕はといえば、その頃はまだ、そんなものは不良の音楽だと思っていた。「成りあがり」も読んだけど、そこに描かれた世界は、ベッドタウンの中学生からははるかにほど遠い、共感しようのない世界だったからだ。

そんな「不良」イメージとは裏腹に、永ちゃん自身はアメリカへ渡り元ドゥービー・ブラザースの連中らと、キャロルや初期のソロ時代の不良っぽさとはまるっきりかけはなれた西海岸的な洗練された音楽に挑戦していた。古くからのファンの人たちがそれをどう聴いていたのかはよくわからないけれど、今聴いても非常にかっこいい、洗練された大人の音楽。大人の恋や苦い思いを、クールで乾いたサウンドで、男心のセンチメンタルを見事に描いていると思う。
当時、矢沢30代半ば。少年の頃はよくわからなかったような世界が、今この歳になったからこそリアルに響く気がする。

---------------------------------------------------
Septeber Moon
街を抜け出したこんな夜
テラスにはセプテンバー・ムーン
苦いスコッチをかきたてて
海からの苦い風
Baby,Sorry 何故いつまでも
苦しめた あの夏の日を
Baby,Sorry もう一度だけ
夢でいい 愛していると

人の過ちの愚かしさ
照らすのか セプテンバー・ムーン
一度失って誰にない
あの女のあの重さ
Baby,Sorry 酔いきれるまで
月影に グラスを掲げ
Baby,Sorry 悪い奴
Baby,Sorry 九月は寒い

---------------------------------------------------
矢沢永吉がオヤジになった今もかっこいいのは、なんだかんだいっても売れてなんぼ、支持されてなんぼ、という潔さと、だからといって時代に媚びたりはせず、自分の資質の中で今自分に求められるものを、過去にこだわらずに変化させてゆく、そんな頑固さと柔軟さのバランスの妙を持ち合わせているからだと思う。ちゃんと大人になろうとあがいた人だけが失わずにいられる、永遠の少年のイノセンスを感じるのだ。

柳ジョージとレイニーウッド [Woman & I]

Woman and I...OLD FASHIONED LOVE SONGS Woman and I...OLD FASHIONED LOVE SONGS
柳ジョージ&レイニーウッド
1980



夏の熱気をいくつか残しつつ、空には雲をまとった秋の月。そんな雰囲気で聴きたくなった柳ジョージとレイニーウッド、1980年のアルバム[Woman & I]。初めて聴いたのはいくつの頃だったのだろう?
このレコードに収められた、20の唄に語られた、それぞれの、少しほろ苦く、センチメンタルで、泣けてくるような物語の数々。その輝きは今も色褪せないどころか、年を経るにつれ熟成していくかのような気さえするのだ。そしてそれを支えるレイニーウッドの古き良きアメリカの香りがぷんぷんする、まるでザ・バンドのような熱く渋い演奏。
少年時代にはまだ知らない遠い世界への憧れを抱かせ、ブルースやソウルを教えてくれたこのレコードが、大人になってリアルに響くようになるとは思ってもみなかった。

---------------------------------------------
LONELY NIGHT
時は過ぎ思い出に 一人飲むLonely night
胸の開いた赤いdress 眩しすぎるenamel shoes
今はいないおまえ思い 星空に叫ぶMomories
誰も皆羨んだ
戻らない 二人過ごしたあの夜
闇の中抱き合った二人にcandle light

暮れなずむ街 月は踊り
はしゃいでいたぜ Illumination
真夏の空にはNight plane
二人乗せGo to heaven
誰も皆羨んだ
戻らない 二人過ごしたあの夜
闇の中抱き合った二人にcandle light

九月の夜 月はただ黙ってる Lonely night
埃まみれのガラス窓に 映るあの日のScreen
虚ろな時 この部屋で 独り回るmoody blues
誰も皆羨んだ
戻らない 二人過ごしたあの日々
So long

-------------------------------------------------
ハーバー・フリーウェイ
昔この道をいつも違う女の 
肩に手を当て口説きながら走ったぜ
バックミラーに映った女の顔を
俺は今でもひとりづつ覚えてる
過ぎた日々の谷間に 生き続ける女たちよ
俺は今でもひとりでいるけど おまえたちが好きさ

ヘッドライトに浮かんでは消えてゆく
若かった頃の思い出に手を振れば
雲に隠れてたあの頃と同じ月が
岬の方から俺に微笑んでいる
過ぎた日々の谷間に 生き続ける女たちよ
今夜は俺とふたりだけで走ろう
夜のハーバー・フリーウェイ

昔この道をいつも違う女の 
肩に手を当て口説きながら走ったぜ…

The Band [Moondog Matinee]

Moondog Matinee Moondog Matinee
The Band
1973



ザ・バンド。
Dr.リヴォン・ヘルム、B.リック・ダンコ、G.ロビー・ロバートソン、P.リチャード・マニュエル、Org.ガース・ハドソンの5人組の兵たち。
彼らの音楽が描き出すのは、古き良きアメリカ南部の風景。だが、リヴォンを除く4人はカナダ出身なのだ。
その活動期間は1968年から1976年の10年間だが、そのバンドの始まりは1950年代後半に遡る。

50年代後半、ロックンローラー、ロニー・ホーキンスはアメリカでの人気が落ち目になりカナダへ活動の場を求めた。演歌歌手の地方ドサ回り公演みたいなものだろう。連れて行ったアメリカ人メンバーはそのツアーの過酷さに一人抜け、二人抜け…そのたびにカナダ人の若者を現地採用していった。そうやって何人ものメンバーがツアーの日々の中で来ては去り、去ってはやって来る。その頃の彼らの姿を想像するのはとても楽しい。田舎の掘っ立て小屋や古びた酒場なんかで、山仕事や畑仕事を終えた荒くれ者の酔っぱらいたちを相手に演奏するのは古い民謡やカントリーやブルースばかり。下手な演奏をすればくそみそに野次られ、盛り上がれば朝まで歌いまくる。我こそはと腕に自信を持って故郷を後にミュージシャンを志した若者たちはそんなツアーの中で挫折しては去ってゆき、そうやって最後に残ったのが彼らだった。
お互いの間を見計らったその演奏力もライヴの盛り上げ方もそんなツアーの中で培われていったのだろう。彼らは時にお互いの楽器を交換して演奏する。そして全員がリード・ヴォーカルを取る。その「歌い方」は、もちろん聞き込めばそれぞれの違いによる味わいはあるものの、ぱっと聴いただけでは誰が誰かわからないほどよく似ている。それは、10代後半だった彼らみんながそのとき同じものを見ながらツアーの中で音楽家としての自己を形成していった証なのだと思う。
その後ボブ・ディランに出会い、ディランに傾倒した彼らは、ロビー・ロバートソンを中心に難解なオリジナル楽曲を作り世に出る。ロバートソンの描き出す世界を支えたのは、ツアーで培われた確かな演奏力と、しみこんたような土の匂いや悲しみ、ブルース・フィーリング。ふっきれたような明るさをかもしだす彼ら独特のファンクネス。ロビー・ロバートソンの頭脳とバンドのメンバーの肉体の見事な一致が、ザ・バンドの黄金時代を生み出したのだ。

1973年の“Moondog Matinee”は、そんなツアーでの様子がうかがえる古いR&Bやブルースのカバー集。ロビー・ロバートソンはこのアルバムについて「このアルバムは単なるオールディーズのカバー集ではなく、オリジナル曲が充分表現できなかった部分を補おうとしたものだ」なんて語っているけれど、そんな理屈以前にザ・バンドの魂が満開の素晴らしいレコードだ。例えばこの“The Great Pretender ”。リチャード・マニュエルの今にも泣き出しそうなヴォーカルと、魂のこもった演奏が、プラターズの安っぽいドゥ・ワップ曲を見事なまでのソウルフルな楽曲に仕立て上げている。正直泣けてくる。

------------------------------------------------
The Great Pretender
Oh yes, I'm the great pretender
Pretending that I'm doing well
My need is such; I pretend too much
I'm lonely but no one can tell.

Oh yes, I'm the great pretender
A drift in a world of my own
I play the game; but to my real shame
You've let me to dream all alone.

Too real is this feeling of make believe
Too real when I feel what my heart can't conceal.

Oh yes I'm the great pretender
Just laughing and gay like a clown
I seem to be what I'm not; you see
I'm wearing my heart like a crown
Pretending that you're still around.

Too real is this feeling of make believe
Too real when I feel what my heart can't conceal

Yes I'm the great pretender
Just laughing and gay like a clown
I seem to be what I'm not you see
I'm wearing my heart like a crown
Pretending that you're still around

-------------------------------------------------
そう、僕はふりをするのがとても上手な男
何もかもうまくいっているふりをしている
ほしいものはあるけれど、なんにもいらないってふりをして
僕の寂しいだなんて、誰も言い当てられやしないはず

そう、僕はふりをするのがとても上手な男
自分だけの世界をさまよって
自分だけのゲームをしてるんだ
きみは僕を夢の世界へ置き去りにしてしまったんだ

妄想だけがあまりにも現実的すぎて
気持ちを覆い隠すことができないくらい

そう、僕はふりをするのがとても上手な男
ピエロのように明るく笑って振舞って
まだきみの姿がありありと目に映る
僕の心はまだきみがそばにいてくれるように
王冠をかぶっているのさ

妄想だけがあまりにも現実的すぎて
気持ちを覆い隠すことができないくらい

そう、僕はふりをするのがとても上手な男
ピエロのように明るく笑って振舞って
まだきみの姿がありありと目に映る
僕の心はまだきみがそばにいてくれるように
王冠をかぶっているのさ

The Band / I Shall Be Released

Music from Big Pink Music from Big Pink
The Band
1968



♪I Shall be Released
They say everything can be replaced
They say every distance is not near
So I remember every face
Of every man who put me here

I see my light come shinin'
From the west unto the east
Any day now, any day now
I shall be released

They say ev'ry man needs protection
They say that ev'ry man must fall
Yet I swear I see my reflection
Somewhere so high above this wall

I see my light come shinin'
From the west unto the east
Any day now, any day now
I shall be released

Now yonder standing there in this lonely crowd
A man who swears he's not to blame
All day long I hear him shouting so loud
Just crying out that he was framed

I see my light come shinin'
From the west unto the east
Any day now, any day now
I shall be released

--------------------------------------------
全てのものは代わりがきくと奴等は言う
けど全てがすぐ近くにあるわけじゃない
そして僕は思い出しているんだ
僕をここまで連れてきたあらゆる人々の顔を

僕の光が見えている
西から昇って東へ沈んでいく
いつの日にか いつの日にか
解き放たれる日が来るだろう

誰もが加護の下にあるべきだと奴等は言う
誰もが落ちぶれてゆくものだから
けど誓って言う、僕には僕の影が見えるんだ
この壁の上のどこか上のほうに

僕の光が見えている
西から昇って東へ沈んでいく
いつの日にか いつの日にか
解き放たれる日が来るだろう

寂しい群衆の中で僕の隣にいた男
誓いを立てた男が責められる所以はないけれど
俺ははめられたんだと大声で泣き叫ぶ男の声を
一日中聞いていたんだ

僕の光が見えている
西から昇って東へ沈んでいく
いつの日にか いつの日にか
解き放たれる日が来るだろう

------------------------------------------
ザ・バンドが解散したのは1976年。たくさんのゲストを呼んだ華々しい最後を『ラスト・ワルツ』という映画にして。
解散については、メンバーの酒とドラッグによる体調不良や、アルバム製作にもっと力を入れたいロビーと、ツアーにこだわるメンバーとの意見の相違の中でバンド自体が煮詰まってしまったからと言われているが、それぞれの納得のいく解散ではなかったのだろう。或いは解散して改めて、ザ・バンドの名において起きた奇蹟を実感したのだろうか。
解散後、彼らはおのおののソロ活動に入るが、7年後の1983年に、ロビー抜きの4人はザ・バンドを再結成しツアーに出る。
懐メロだの昔の遺産で食っているだの金儲けだのと揶揄されることを覚悟の上で彼らがツアーに出たのは、ツアーの日々こそが彼らの人生だったからだ。理論やコンセプトなんてどうでもいい、俺たちはただ観衆の前で演奏したい、ザ・バンドを解散させてみて初めてわかった、このメンバーだったからこそできる最高の演奏をもう一度、ロバートソンがいなくても俺たちには最高のロックをプレイできる腕と魂とプライドがある…そんな思いだったに違いないという気がする。
そのツアーで、四人のザ・バンドは、素晴らしい演奏を披露した。
けれど、1986年のワールド・ツアーの最終日にリチャード・マニュエルはホテルの一室で自殺してしまった。42歳だった。
おそらく彼は、自分の人生のピークを見てしまったのだと思う。絶頂の時期はもはや済んでしまった、こんな幸せはもはやこの先の人生で味わうことなどできっこないと考えたのに違いない。楽しいことは何もかも過ぎ去って、この先下ってゆくだけの人生に果たして価値があるのだろうか?いっそこの幸せの絶頂の中でおしまいにしてしまおうか。そんなことを考えたのだろうか。
その感じを肯定するわけにはいかないけれど、少しわかる気もする。
そんなドラマの結末を知って後に聴く、ザ・バンドのファーストアルバムでのリチャードの名唱、“I Shall Be Released”。リチャードにはどんな光が見えたのだろう。

Rod Stewart / Maggie May

Every Picture Tells a Story Every Picture Tells a Story
Rod Stewart
1971



♪Maggie May
Wake up maggie I think I got something to say to you
Its late september and I really should be back at school
I know I keep you amused but I feel Im being used
Oh maggie I couldnt have tried any more
You lured me away from home just to save you from being alone
You stole my heart and thats what really hurt

The morning sun when its in your face really shows your age
But that dont worry me none in my eyes youre everything
I laughed at all of your jokes my love you didnt need to coax
Oh, maggie I couldnt have tried any more
You lured me away from home, just to save you from being alone
You stole my soul and thats a pain I can do without

All I needed was a friend to lend a guiding hand
But you turned into a lover and
Mother what a lover, you wore me out
All you did was wreck my bed
And in the morning kick me in the head
Oh maggie I couldnt have tried anymore
You lured me away from home cause you didnt want to be alone
You stole my heart I couldnt leave you if I tried

I suppose I could collect my books and get on back to school
Or steal my daddys cue and make a living out of playing pool
Or find myself a rock and roll band that needs a helpin hand
Oh maggie I wish Id never seen your face
You made a first-class fool out of me
But Im as blind as a fool can be
You stole my heart but I love you anyway

Maggie I wish Id never seen your face
Ill get on back home one of these days

-------------------------------------------------
起きてよ マギー 君に言わなきゃいけないことがある
もう9月も終わり そろそろ本当に学校に戻らなきゃ
君を楽しませてきたつもりさ
けどなんだかうまく利用されてたような気もする
ねぇ、マギー、これ以上続けてはいけないよ
君は孤独になりたくなかったから僕を家から引きずり出したんだ
君は僕の心を盗み取ってしまった
だけどそれは僕らを深く傷つけてしまったんだ

朝の光が君の歳をはっきりさせる
そんなことはどうでもいいことだけど
僕に見えるのは君だけ 君のジョークにはいつも笑わされたよ
僕らの恋が燃え上がるのには石炭すら必要なかったんだ
けど、マギー、これ以上はもういっぱいいっぱいだ
君は孤独になりたくなかったから僕を家から引きずり出したんだ
君は僕の心を盗み取ってしまった
それはとっても耐えがたい痛みなのさ

僕が必要としていたのは僕の手をとって導いてくれる親友だった
けど君は恋人や母親になってしまった
君が僕に恋人の衣装を着せたがったけど
君のすることはいつも僕のベッドで遭難すること
そして朝になったら僕の頭を小突くこと
ねぇ、マギー これ以上続けてはいけないよ
君は孤独になりたくなかったから
僕を家から引きずり出したんだ。君は僕の心を盗み取ってしまった
もし君が望まなければ
君から離れていけそうもないんだよ

僕は本をかき集めて学校へ戻るよ
それとも父親のキューを盗みだしてビリヤードのプロになろうか
メンバーを募集してるロックンロールバンドに加入ってのもいいな
ねぇマギー 君の顔なんてもう見たくもない
君は僕を最高級の愚か者にしたんだぜ
僕もそんなになるほど盲目だったわけだけど
君は僕の心を盗み取ってしまった
でもこれ以上君を愛してはいけないんだ…

こんな日々から抜け出して 早く学校に戻らなきゃ

------------------------------------------------
「もう九月も終わり。」そんなフレーズで始まるロッド・スチュワートの“マギー・メイ”。
ロッドのしゃがれた声、ロン・ウッドの透明感溢れるアコースティック・ギターやマンドリンが描き出すたわいもない恋の物語。けど、よくある「誰よりも愛してる」なんてラブソングよりもよっぽど恋愛の本質を描き出した歌だと思う。

恋とか愛とかっていったい何なのか、いくつになってもよくわからない。こればっかりは場数を踏めばわかるというものでもないらしい。そもそもはっきりした答えや法則があるようなものでもなさそうだし。それぞれのその時々にお互いの感情があり、それが何かのきっかけでスパークして、膨らんだりしぼんだりしながらどんどん転がってゆく。なんとかなると思いながら気が付いたらどうしようもない場所にたどりついていた。そんなことはどこにでもあること、よくあることなんだろう、きっと。男と女がいる限り、誰にでも起こり得るありふれた出来事なのだろう。
けれどそのひとつひとつは、本人にとっては人生左右しかねないかけがえのない感情なのだ。そして“この気持ちはかけがえがない”と思えるということがきっと一番素敵なことなんだと思う。そんなことはそう頻繁に訪れるものでもなさそうだから。

それにしても、女の人はどうして最後には「母親」か「恋人」になってしまうのかな。もちろん男も、いつまでたっても「男の子」から抜け出せないのだけれど。
そうじゃない関係、母親でも恋人でもない、信頼できる男と女の関係っていうのもありだと思うのだ。成就しなかった恋の粘土細工が、窯で焼かれた果てにそんな美しい焼き物になればそれはそれでガラス細工のように壊れやすい少年時代の恋なんかよりはるかに素敵なのになぁ。なんて、そんなことを思いながら、マギー・メイの一節、♪All I needed was a friend to lend a guiding hand〜って部分を口ずさんでみるのだった。

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♪Rod Stewart Maggie May 2007

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プロフィール

Author:goldenblue
**************

音楽から人生へのいろんな示唆を受けてきた。音楽から得たインフルエンスやインスピレーションを通じて人生の機微を語ってみたいと思った。もっとも、文章で語れない想いだからこそ音楽で表現するのであるからして、到底うまく語ることなどできっこなかったのですが。

『音楽と人生に関する一考察』は
2008年3月にて
一旦完結しました。

2008年4月より
『日々の糧と回心の契機』へ

**************

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