音楽と人生に関する一考察

三宅伸治 / 1970

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三宅伸治ナッシュビル・キャッツ



よく晴れた一日だった。10月のはずなのに、夏の匂いがする一日。
ほぼ徹夜に近い状態で仕事を片付け、朝から子どもの運動会。実は過去2年間いずれも雨で振り替えになり行けなかったのだ。親としては、どうしてもあらばっかり目立ってしまって目を覆いたくなるようなシーンもあったけれど、家での態度から想像できる姿よりもはるかに、まともに幼稚園生活を送っているようで安心もした。

それにしても、幼稚園児の運動会っていうのは、なんてのどかで平和で穏やかな光景なのだろう。誰もが絵に書いたような幸せな笑顔を浮かべて子どもたちを見守っている。まるで悩みもいさかいも一切ないような。
そんな幸せがずっと長く続くわけではないことをみんなわかっているからこそその一部始終を一生懸命カメラに収めておこうとしてしまうのだろうか。娘がひたむきに走り踊る姿を、いつの日か、懐かしいレコードを聴くみたいに、思い出すのだろう。

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古いレコードから好きな曲が聞こえる
僕の部屋は今1970年
夏の匂いがする 10月のはずなのに
僕の部屋は今1970年
Good time music 君に聴かせてあげたい
Good time music 僕の部屋へおいでよ

レコード棚から世界を旅しよう
あらゆる景色にトリップできるんだ
本当の君はどこにいるんだい
僕は僕を探し当てそうだよ
Good time music 君に聴かせてあげたい
Good time music 僕の部屋へおいでよ

僕はうまく行きそうなんだよ
少しずつ ほんの少しずつだけどね

当てはなくともドアを開けよう
僕は僕を探し当てそうだよ
Good time music 君に聴かせてあげたい
Good time music 僕の部屋へおいでよ

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芸能生活20周年とかで、このところ脚光を浴びている三宅伸治氏。
鳴り物入りでデビューしたモジョ・クラブが見事にずっこけてレコード会社を転々とする、そんなちょうど10年前のこのアルバムは、ナッシュビルで名うてのメンツとレコーディングしたカントリィでスワンピィでブルージィで、懐かしい匂いがするようなレコードだ。
当てはなくともドアを開けよう
僕は僕を探し当てそうだよ
そんなフレーズが、何かの転機だったことを感じさせる。

つづく(DVD付) つづく
三宅伸治 with friends
2007

MOJO CLUB / ぼくらの事

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社会復帰
MOJO CLUB
1989

くたびれて昼寝していたら玄関のチャイムが鳴った。
不用意にドアを開けたら、二人組のおばさんの宗教の勧誘だった。オウム以降ずいぶん減ったと思っていたのに、まだ出没していたのか!とやや意外な驚きの後に「迷惑です。」と追い払った。
宗教については、いろんな考え方があるだろう。
その人それぞれが信じているのならその神様を信じればいい。ただ、それを他人に押し付けなくてもいいだろう。宗教を広めたい側には広めたいなりのカラクリが必ずあるはずだってことを僕らの社会はたくさんの事例からもうすっかり学んでいるだろう。

何らかの信仰心は人間にとって必要なのだろうと思う。
けれど、既存の宗教やら神様やら、守護霊やら前世やらにすべてを丸投げしてしまうのはあまりにも安易だと思う。ジョン・レノンが歌ったようにGod is a conncept、なのだ。自分の力でどうにもならないことをもっともっと大きな力のせいにして片付けてしまうシステムこそが「神様」。何かの宗教にどっぷりはまってしまうことは、高速道路にのって大型観光バスで有名観光地を巡るツアーみたいにお手軽でお買い得でお気楽なんだろう。それで心の安らぎが手に入るのならそれもいいだろう。
ただ、僕は自分の足で歩いて、自分の目で見たものを頼りに、自分の頭で考え自分の心で感じたことを信じたいと思うだけだ。

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もし誰かを救ってあげたいのなら
自分の手で守ってあげなよ
もし何かに頼って祈りたいのなら
自分に向かって祈るんだね
うまくいくかいかないかなんて
ぼくらの事はぼくらのものなのに

どうにかなるだろう どうにもならなくても
Oh、ぼくを想ってくれれば
何とかなるだろう 楽しくやれるだろう
Oh、救われなくたって

もし偶然にうまくいっても
君はもう一度祈るのかい
もしやっぱりだめになってしまっても
君は長い間ひざまずくんだろう
ぼくと君がやってきたことは
その時どこへ行ってしまうんだろう

どうにかなるだろう どうにもならなくても
Oh、ぼくを想ってくれれば
何とかなるだろう 楽しくやれるだろう
Oh、救われなくたって

信じてないわけじゃないのさ
うまくいくかいかないかなんて
ぼくらの事はぼくらのものなのに

どうにかなるだろう どうにもならなくても
Oh、君を想っていれば
何とかなるだろう 楽しくやれるだろう
Oh、救われなくたって

Hallelujah,I love you so!

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三宅伸治率いるモジョ・クラブのファーストアルバムより。
清志郎を師と仰ぐだけあってその似たような雰囲気にすぐに気に入って、同じバイト先のRC好きに聴かせたら「これなら清志郎を聴いていればじゅうぶん」と言い切られてしまった。あれから20年、ですか。

仲井戸麗市 / 向日葵10.9

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DA DA
仲井戸麗市
1993


向日葵の舟に揺られて 一足お先に
次の夏に居るお前 ちょっと覗きに行った
あいにくとお前は その日留守だなんて
そんな事の無いように 祈り乍ら

向日葵の舟を下りて 直ぐにその足で
次の夏にもあるはずの お前の家を訪ねた
幸いにしてお前は そこに確かに居てくれて
前の夏と同じシャツを着てた 俺の好きな
Summertime blues
Summertime blues

向日葵の舟に乗せて お前を連れて戻った
前の夏に歩いた 確かな時間に
あいにくとそこは とっくに秋だったけど
幸いにして空は青く澄んでた 嘘のように
Summertime blues
Summertime blues

向日葵の舟に乗って 一足お先に
次の夏の景色を ちょっと覗いた夜さ
Summertime blues
Summertime blues

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あいつの家には電話がなかった。もちろん携帯電話なんて持っていなかった。共同トイレ・共同炊事場の四畳半であいつはいつもギターを弾いていた。
大学受験をすべって浪人して予備校へ通うために田舎から出てきたあいつと僕が知り合ったのは、その頃僕がうろうろ出入りしていた劇団関係の共通の友人を通じてのことだった。ストーンズとストリートスライダースの大ファンで、ジョン・レノンのような眼鏡をかけて、肩まで髪を伸ばしていた。しょっちゅうあいつの下宿に入り浸ってはレコードを聴ききながら、ああだこうだと音楽評や人物評から始まって、やがて宇宙のことやら生命のこと、とても高尚とはいえないが深遠で哲学的な話を朝まで語り合ったりした。
あいつも僕も大好きだったRCサクセション。何度かライヴにも行った。チャボの“麗蘭”に衝撃を受けて一緒に組んだユニット名は“エレクトリック・プランクトン”。
やがて僕は二度目の就職をし、多忙になって、あの街とも疎遠になった。あいつはとっくに受験をあきらめて日雇い労働者になっていた。友人とバンドを組んだりして相変わらずぷらぷらしていたのだけれど、いつの頃からか連絡がとれなくなり、いつの間にかあの街から姿を消してしまっていたらしい。今頃どこでどうしているのやら。あの懐かしい共同トイレ・共同炊事場の四畳半のアパートへ行けば、今も奴がギターを弾いているような気がするけれど、その場所にまだあのアパートが立っているのかどうかは定かではない。もう15年も経ってしまったのだから。
僕の今立っている場所からでは風の噂すら聞こえては来ない。もうすぐ出る麗蘭の新譜を、あいつは一体どこで聴くのだろう。けれど、不思議と心配はしない。お互いが同じ場所にたどり着いた頃に、きっとまた会えるような気がするからだ。そしたら、長い空白期間なんてなかったみたいに、例えば“Summertime blues”なんて演るのだ。

1+1 1+1
麗蘭
2007

ハナレグミ / ハンキーパンキー

日々のあわ日々のあわ
ハナレグミ



♪ハンキーパンキー
どこまでやれるかなんて
無限に浮かぶままの回答
きたるべき日々を
余すことなく見据えたいんだ

僕のための 日々のあわ

変わることを拒むのでなく
変われたことをほめたいんだ
傷を嘆くよりも
出会えたことを歌いたいんだ

君のための 日々のあわ

ハンキーパンキー遊ぼうよ
答えはひとつだけじゃないんだよ
ハンキーパンキー楽しいと
素直に言えるほうが素敵だよ

今は見知らぬ笑顔の隣の人々
どこかでまた出逢えるといいね

続く僕らのための 日々のあわ

ハンキーパンキー遊ぼうよ
誰も君を奪えやしないんだよ
ハンキーパンキー楽しいと
誰かのためなんて生きれないよ

ハンキーパンキー遊ぼうよ
答えはひとつだけじゃないんだよ
ハンキーパンキー楽しいと
素直に言えるだけでいいんだよ

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いい天気なのにお客さまとのトラブルがあってスーツに着替えて出動した午後。相手様との待ち時間で少しぼけっとしてた。
見上げれば秋の空。いわし雲がたくさん並んで、空の色が少し薄くて、そんな空を見上げてたら、なんだかぽっかりエアポケットにはまったみたいに悲しいんだか楽しいんだか、泣きたいんだか微笑みたいんだかよくわからないような、そんな気分になってしまった。
どーでもいいトラブルなんてほったらかして、河原へ行ってお昼寝でもしたいなぁ、なんて思いながら、大きく深呼吸してみた。決して投げやりや捨て鉢な意味ではなく、何もかもどーでもよくなった。
何もかも、小さなことだ。雲は形を変えながら、風に乗っていく。日々は流れてゆく。それでいいのだ。

なんとなく、そんな気分に似合うハナレグミの2nd“日々のあわ”。
雲を運ぶ風のように優しく穏やかでちょっぴり寂しげで、でも悲しくはない、そんな永積氏の声。
答えはひとつだけじゃないんだよ。

のっこ / わすれな草

ベランダの岸辺ベランダの岸辺
のっこ



わすれな草
風が強く吹くね 大きく揺れる枝の緑がきらきら
波立つ季節 ベランダの岸辺では
一緒にいるだけで どこへでも飛べそうね
風のせいにして 何も聞かない
ほら、もう日が暮れるよ

すみれ色に染まる空に 木々は黒くうねり続け
灯りがひとつ 星がひとつ そしてキスをひとつよりも
コバルトの世界が 岸辺を包み込む
足元で揺れていたよ あの日 わすれな草

あなたといる他のために退屈があり
なんて寝転んでいるうちに 夏が深まってゆく
汗ひとつかかずに 重いドアを開くと
破裂するような眩しさだけが
すべてを熱していた

あなたへのときめきには ウソつかずそのままにした
まるで永遠に続くような この夏の暑さのように
コバルトの世界が 岸辺を包み込む
足元で揺れていたよ あの日 わすれな草

すみれ色に染まる空に 木々は黒くうねり続け
灯りがひとつ 星がひとつ そしてキスをひとつよりも
そして夢の中に 岸辺を映しこむ
足元で揺れているよ あの日の わすれな草

足元で揺れていたよ あの日 わすれな草

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学生時代、軽音楽部の女の子ヴォーカルのバンドは、猫も杓子もレベッカだった。誰もが元気で、生意気で、はじけるように踊りまくるNOKKOに夢中だった。
そんな元レベッカのNOKKOさんの「のっこ」名義のソロ・アルバム。
このレコードでの“のっこ”さんは、チャキチャキの元気印のNOKKOさんとはまるで違う表情で、ふとひとりになったときに見せる寂しげな横顔みたいで、なんだかきゅっとした気持ちになる。
せつない歌声を聴きながら、風が強く吹くベランダの岸辺で日が暮れるのをじっと眺めていた。
秋は深まる。

Brian Wilson / Love and Mercy

Brian WilsonBrian Wilson
Brian Wilson



♪Love and Mercy
I was sittin’ in a crummy movie
With my hands on my chin
all the violence that occurs
Seems like we never win

Love and mercy that’s what you need tonight
Love and mercy to you and your friends tonight

I was lying in my room
And the news came on TV
A lotta people out there hurtin’
And it really scares me

Love and mercy that’s what you need tonight
Love and mercy to you and your friends tonight

I was standing in a bar
And watching all the people there
Oh the loneliness in this world
Well it’s just not fair

Love and mercy that’s what we need tonight
Love and mercy to you and your friends tonight

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みすぼらしい映画館で頬杖をついて
スクリーンに映し出される暴力に圧倒されていた

今夜、必要なのは愛と慈悲の心
だから、今夜、あなたにもあなたの友達にも
心からの愛と憐れみと慰めを

部屋に寝転がってTVでニュースを見ていた
たくさんの人々が傷ついていて
本当にぞっとしてしまう

今夜、必要なのは愛と慈悲の心
だから、今夜、あなたにもあなたの友達にも
心からの愛と憐れみと慰めを

バーにぽつんと佇んでそこにいる人々を眺めていた
この世界中に溢れる孤独
どうにもやりきれない

今夜、必要なのは愛と慈悲の心
だから、今夜、あなたにもあなたの友達にも
心からの愛と憐れみと慰めを

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夕方帰着した配送担当者から「何か事件があったみたいで通行止めでたいへんだった。」という報告は聞いていた。夜になって、“今日の夕方、○区のマンションの七階から五歳の男の子が、母親が外出した間にベランダから転落して死亡した”との事故があったことをニュースで知った。そして、その痛ましさに涙が出てきた。
母親がマンションの管理人室へ書類を届けに行ったすきだったようだ。ベランダには80cmほどの台があり、男の子はそこから転落したらしい。

母親はきっとそのことを一生悔やむだろう。一生自分を責めるだろう。
でも、不注意だろうか?五歳の男の子を置いてほんの少し外出することが。不注意だろうか?いつもはどうだかわからないけれど、その日に限ってベランダの扉が開いていたことが。この事件を聞いた世間の主婦は「気をつけなきゃ」って言い合うのだろう。でも、それじゃぁ彼女が気をつけていなかったから事故が起きたのか?彼女だってじゅうぶんに気をつけていただろう。それでも事故は起こるのだ。

日常生活の闇に悪魔はいつも潜んでいて、ほんの偶然のタイミングでのその牙をむき出しにする。それは生き物の世界には必ずあることで、僕たちがこうやって生きてこれたのは、ある意味偶然の積み重ねでしかないのだと思う。だから、どうか、自分の不注意を責めないでほしい。誰も悪くはない。誰も悪くはない。
4歳や5歳の子どもたちはまだ人間の領域ではなく無邪気な天使の領域に属している天国からの借り物なのかもしれない、と我が子の寝顔にそう思った。

Eric Clapton / Tears in Heaven

Unplugged Unplugged
Eric Clapton
1992



♪Tears in Heaven
Would you know my name
If I saw you in heaven
Will it be the same
If I saw you in heaven
I must be strong, and carry on
Cause I know I don't belong
Here in heaven

Would you hold my hand
If I saw you in heaven
Would you help me stand
If I saw you in heaven
I'll find my way, through night and day
Cause I know I just can't stay
Here in heaven

Time can bring you down
Time can bend your knee
Time can break your heart
Have you begging please
Begging please

Beyond the door
There's peace I'm sure.
And I know there'll be no more...
Tears in heaven

Would you know my name
If I saw you in heaven
Will it be the same
If I saw you in heaven
I must be strong, and carry on
Cause I know I don't belong
Here in heaven

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もし天国で会えたとき、僕のことを覚えてくれているだろうか?
もし天国で会えたなら、何もかも変わらないままだろうか?

強くなりたいと思う
これからからも行き続けていくために
だって、僕は天国にふさわしい人間なんかじゃないのだから

もし天国で会えたなら、僕の手を握ってくれるかい?
もし天国で会えたなら、僕が立ち直るのを手助けしてくれるかい?

ずっと長い時間をかけて
僕は自分の道を見つけ出さなきゃいけない
だって、僕は天国に長居してはいられないのだから

時はあなたを落ち込ませ、ひざまずかせることもある
あなたの心をずたずたに引き裂いて、願いを乞わせるけれど…

あの扉を開けば、心の平安が訪れる
それを僕は確信している
天国での涙はもういらない

もし天国で会えたとき、僕のことを覚えてくれているだろうか?
もし天国で会えたなら、何もかも変わらないままだろうか?

強くなりたいと思う
これからからも行き続けていくために
だって、僕は天国にふさわしい人間なんかじゃないのだから

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1991年、クラプトンは、ニューヨークの高層マンションからの転落事故で長男を亡くした。この歌は、その長男に捧げられた、痛みと願いにあふれた歌だ。
この歌を歌い続けることでクラプトンは癒され、昔のように酒とドラッグに溺れることなく立ち直ったのだという。悲しみに覆われ、それでも出口を探してのたうちまわった末に得た心の平安。

僕は幸せなことに、身近な人間を不幸な事故で失ったことはない。それは本当に幸せなことだと思う。ある日突然何の前触れもなく愛する者を失うことは、本当に辛い出来事だと思う。たくさんの時間をかけて、そのことを昇華していくほかにどうしようもないのだろうけれど。

Robbie Robertson / Fallen Angel

Robbie Robertson Robbie Robertson
Robbie Robertson
1990



1987年、ザ・バンドの解散から10年を隔てて発表されたロビー・ロバートソンのソロアルバムは、ザ・バンドの南部臭さとはまるっきり違っていた。プロデューサーのダニエル・ラノワやゲストのピーター・ゲイブリエルの描き出す世界にも似た、クールでシュールで、陰影が濃く残響音がこだまするような音楽。空の高い高いところでものすごい速度で風が流れているのを見上げるような感じがする。或いはよく冷えた硬質のミネラルウォーターを飲みほしたときにできる体の中の一本の水脈のような感じ。
このアルバムの1曲目『Fallen Angel』には、「リチャード・マニュエルに捧ぐ」のコメントがある。ゆらゆらとうごめく陽炎のような美しくも哀しい曲だ。
ロバートソンのこの沈黙の10年に何があったのかは多くを語られてはいないけれど、まだまだ続いてゆく人生を、ザ・バンドの幻影にすがっていくわけにはいかなかったのだろう。ザ・バンドで表現してきたこととは違う何かがロバートソンをかきたてていた。いつまでたってもまとわりついて離れない「元ザ・バンドの」のレッテルをひっぺがすために、10年という期間と、ザ・バンドとはまったく違うタイプのサウンドが必要だったのだろうと思う。それは、ザ・バンドとの青春に殉じたリチャード・マニュエルとはまったく逆の考え方で、だからこそロバートソンはザ・バンドの再結成ツアーに参加するわけにはいかなかった。おそらく、そうすれば、ツアーの後で自ら命を絶ったリチャード・マニュエルと同じようになってしまうことがロバートソンには判っていたのかもしれない。

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♪Fallen Angel
Are you out there
Can you hear me
Can you see me in the dark

I don't believe it's all for nothing
It's not just written in the sand
Sometimes I thought you felt too much
And you crossed into the shadowland

And the river was overflowing
And the sky was fiery red
You gotta play the hand that's dealt ya
That's what the old man always said

Fallen Angel
Casts a shadow up against the sun
If my eyes could see
The spirit of the chosen one

In my dream the pipes were playing
In my dream I lost a friend
Come down Gabriel and blow your horn
'Cause some day we will meet again

Fallen Angel
Casts a shadow up against the sun
If my eyes could see
The spirit of the chosen one

All the tears
All the rage
All the blues in the night
If my eyes could see
You kneeling in the silver light

Fallin', fallin', fallin' down
Fallin', fallin' down
Fallin', fallin', fallin' down
Fallin', fallin' down

Fallen Angel
Casts a shadow up against the sun
If my eyes could see
The spirit of the chosen one

All the tears
All the rage
All the blues in the night
If my eyes could see
You kneeling in the silver light

If you're out there can you touch me
Can you see me I don't know
If you're out there can you reach me
Lay a flower in the snow

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そこにいるのかい?
僕の声が聞こえるかい?
闇の中で僕の姿が見えるかい?

僕には信じられない 
まるで砂に書かれた文字みたいに
何事もなかっただなんて
時々 君は考えすぎてたんだって思うよ
君は影の国へ渡って行ってしまった

河はあふれ、空は燃えるように赤い
「配られたカードで勝負するしかないんだよ」って、
年老いた男がいつも言っていたさ

堕ちた天使が太陽に影を落としている
選ばれし者の魂が僕には見える

笛を吹く夢を見た
友を失う夢を見た
天使ガブリエルがやってきて君の角笛を吹く
だっていつか僕らはまた会うのだから

堕ちた天使が太陽に影を落としている
選ばれし者の魂が僕には見える

すべての涙
すべての怒り
すべての夜のブルース
銀色の光の中にひざまずく君の姿が、もし僕に見えたなら

堕ちた天使が太陽に影を落としている
選ばれし者の魂が僕には見える

もし君がそこにいるのなら、僕に触れてほしいんだ
君に僕が見えるのかどうか判らないけれど
もし君がそこにいるのなら、僕に手を差し伸べてほしいんだ
そして雪の中に花を捧げてくれないか

John Fogerty [Centerfield]

センターフィールドCenterfield
John Fogerty

1984


クライマックス・シリーズ、セ・リーグ第一ステージ。タイガースがドラゴンズにあっさり負けて、奇跡的な追い上げで盛り上がったタイガースの今シーズンもついに終わった。なにしろ、まるで借りてきた猫みたいに「らしさ」をひとつも発揮できずに破れたのがファンとしては情けない。チーム打率最下位の打線が集中力と粘り強さで何とか勝ってきたのに、その集中力も粘りも覇気もなければ試合巧者のドラゴンズに勝てるわけはないのだ。冬になる前の休日をナイターでビールで過ごそうと思っていた野球ファンに、優勝争いをしたとは思えないふがいない戦いぶりをさらけ出したのが尚更情けない。勝ち負けよりも、気持ちのぶつかり合いのグッド・ゲームを期待していたっていうのに。

野球といえば本場アメリカ。
野球のグラブのジャケットのアルバム、元C.C.Rのジョン・フォガティの“Centerfield”。ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン、ザ・バンドのロビー・ロバートソン同様、60年代に一世を風靡したベテラン・ロッカーが80年代になって長い沈黙を破って発表した作品だ。

C.C.R(クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)は、ジョンや兄のトム・フォガティがカリフォルニアで結成したバンド。冗長で重厚なロックが主流だった60年代後半に、南部の匂いのするエネルギッシュでアーシーで埃っぽくて古臭いロックンロールで次々とヒットを連発し、72年に解散した。
それから十数年のうちに、めまぐるしい時代の移り変わりがあり、テクノロジーの進化があり、ファッションも若者の考え方もすっかり変わった。MTVなんていうビデオクリップのお陰で女の子がキャーキャーいうように仕立てられた王子様ルックスのバンドがバカ売れしていた頃に、オーバーオールとテンガロン・ハットの、まるで田舎の頑固親父のような風体の男が、いなたいロックンロールを引っさげて帰ってきたのだ。
描き出された風景は、C.C.R時代から変わらぬ、古き良きノスタルジックなアメリカの風景。トム・ソーヤーやハックルベリィ・フィンが駆けずり回った草原や森や沼や畑の匂いがするような。
昔から何一つ変わらない、相変わらずのただのロックンロール。進化や成長なんてくそくらえ、時代の流行が何であれ、俺のできることなんかたかが知れているし、俺は俺のできることをやるだけ。そんな気概に満ち溢れたレコード。その「らしさ」が何よりもかっこいい。

音楽だって野球だって、ほかのいろんな表現にしたって、僕らが見たいのは結局のところ、その人ならではの「らしさ」なのだと思う。
他の人にあって自分にないものを取り繕うよりも、自分なりの「らしさ」で生きていくのが、結局のところ一番なのだ。あらためてそう思う。

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♪Rock 'n' Roll Girls
Sometimes I think life is just a rodeo,
The trick is to ride and make it to the bell.
But there is a place, sweet as you will ever know,
In music and love, and things you never tell.
You see it in their face, secrets on the telephone,
A time out of time, for you and no one else.

Hey let’s go all over the world,
Rock and roll girls, rock and roll girls.

Yeah, yeah, yeah!

If I had my way, I’d shuffle off to buffalo;
Sit by the lake, and watch the world go by.
Ladies in the sun, listenin’ to the radio,
Like flowers on the sand, a rainbow in my mind.

Hey let’s go all over the world,
Rock and roll girls, rock and roll girls.

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時々思うんだ 人生はまるでロデオみたいだって
ベルが鳴るまで、操り続けるしかないんだ
けど、素敵な場所だってあるってこと、君も知ってるだろ
音楽や愛の中にある、言葉にできない何かみたいなね
みんなの顔に書いてある 電話口での秘密
たとえ時代遅れだって それは他の誰でもない君だけのもの

さぁ、いこう、世界中へ旅に出よう
ロックンロール・ガールズ!

もし自分の道があるのなら 牛追いなんてほったらかして
湖のほとりに腰掛けて 世界が回るのを眺めているさ
陽を浴びた女たちよ ラジオを聴こうよ
砂漠に咲く花みたいにさ、心に虹がかかるから

さぁ、いこう、世界中へ旅に出よう
ロックンロール・ガールズ!

「トム・ソーヤーの冒険」主題歌 / ぼくのミシシッピー 

トム・ソーヤーの冒険 完結版トム・ソーヤーの冒険 完結版




あこがれのミシシッピー。あこがれのトム・ソーヤー。
男はいつまでたっても「男の子」で、トムやハックみたいなどきどきはらはらする冒険にあこがれる。

小学生の頃、日曜日の夜にやっていた「カルピス世界名作劇場」が大好きだった。仮面ライダーやウルトラマンよりも断然、ハイジやフランダースの犬の方が好きだった。野球よりもプロレスよりももちろん。今思えば、男の子としてはちょっと奇妙だったけれど、日曜日の夜は必ず家族でこの番組を見ていた。当然、主題歌は今もソラで歌えたりもする。ハイジ、マルコ、フランダースの犬、ラスカル、ペリーヌ、赤毛のアン…みんな3歳上の兄と6歳下の弟と家族でいっしょに見た。今思えば、あれは我が家の一番幸せな時代だったのだろう。兄弟喧嘩ばっかりの毎日だったけれど。

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♪ぼくのミシシッピー
ひとが生まれる前から流れているんだね
とても広いゆたかなミシシッピ・リバー
きみはいつでもあしたを指さす矢印さ
知らない世界へ行こうと歌ってる

きっといつか行くよ、ぼくも 
きみがめざす海へ
そしてきみに負けないくらい遠く旅をするんだ

蒸気船の汽笛は まぶしいシンフォニー
しょげてる時も心がふくらむんだ
きみは小さな頃からいかした友達さ
何でも話せる優しいパパ代わり

きっといつか行くよ、ぼくも
星の下をひとり
そしてきみに負けないくらい大きな夢をつかむよ

きっといつか行くよ、ぼくも 
きみがめざす海へ
そしてきみに負けないくらい遠く旅をするんだ

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そんな僕もやがて中学生になり、家族でいっしょにテレビを見ることに気恥ずかしさを覚えるようになった。『トム・ソーヤーの冒険』が放映されていたのは、中学2年生の時。この作品を最後に「名作劇場」を見なくなったのは、受験のために塾へ行くようになったから、だけではない。何でも許された子供時代が終わりを告げようとしていることに、うすうす気付いていたのだと思う。
『トム・ソーヤーの冒険』のエンディング・テーマ「ぼくのミシシッピー」。ミシシッピの川のほとりを、トムとハックが追いかけっこしながら走り続ける映像が今も目に浮かぶ。
この歌を聴くたびに、早く家を出て、この歌みたいにずっとずっと遠くへ行きたいと思うようになっていた。もちろんこれは後になって思い返してそうだったんだと思うことで、当時そんな気持ちをうまく表現できずるわけもなくどんどんひねくれて反抗的になっていくのだけれど、そんな反抗的な態度っていうのは、甘えたいけどもはや甘えられない、っていう気持ちの裏返しだったんだな。もちろんこれも、後になってわかったことなのだけれど。

矢野顕子 [峠のわが家]

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峠のわが家
矢野顕子

1986

キンモクセイの香りがする、遅く目覚めた遅出出勤の午前中。
童謡「ちいさい秋みつけた」のアッコ流カバーが入った、矢野顕子さんの『峠のわが家』をウォークマンで聴いていた。
このアルバムは本当にすごい。シンセサイザーとドラムのゲートエコーなど、作りはもろ80年代の音なのに、今聴いてもまったく古臭くなっていない。

矢野顕子さんは、本当に天才だと思う。
ジャズやクラシックをかじった音楽的に才能豊かな人は得てして技術や理論に溺れて、こじんまりした想像力のない音や技術偏重の心の見えない作品を作ってしまったりしがちだけれど、彼女の音楽は高い技術と温かいセンスを兼ね備えつつ、すっと心に入り込んでくる自然な存在感がある。
そしてその歌の表現する世界に魂ごと乗り移ったかのように入り込んでいくその表現力。ほんわりと包み込んでしまうような母のような包容力と、人としての温かさ。決してグラビア的な意味では美人ではないけれど、媚を売ったセクシーさじゃなく、人としての魅力からにじみでる女らしさ。何よりその自由さ。
私生活でも奔放な人なのだろう。
高校を中退して18歳でデビュー、19歳でミュージシャン矢野誠と今でいう出来婚、5年後離婚、長女の出産後に坂本龍一と入籍、昨年二度目の離婚。そんなキャリアですら、誰も否定的に捉えないのは、その明るく自由奔放なキャラゆえのことだと思う。

明るく自由奔放であり続けるには何事にもへこたれない強さが必要だ。強さを維持するにはきっと膨大なエネルギーが要るのだろう。『そこのアイロンに告ぐ』には「他の光に依らず自ら輝いて」という一節もあるけれど、矢野さんはまるで太陽みたいにエネルギーの塊のようにさえ見える。しかも気負いなく暑苦しくもなく自らのために放たれる輝き。
普通、エネルギーは使えば使うほど減ってしまうけれど、人間力のエネルギーに関しては、実は使えば使うほど増える。使えば使うほど。
ステージやセッションでの瞬間瞬間でいつも完全に自分を解き放っているからこそ、それらがすべてエネルギーとして増幅されるのではないかという気がするのだ。

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♪THE GIRL OF INTEGRITY
ここまで来たのは
喜ぶ顔みたいだけ
本当にそれだけ

自由 ほんとに
自由 こんなに

塗り替える時間さえ
もったいないの、心
歩き続けたいから
走るのは我慢

でも
自由 ほんとに
自由 こんなに

明日は巨大な雨に
濡れる街を透視する
ほしいものは何もない
けれどここにないものがほしい
ほんとにほしい

たくさんのあなたには
たくさんのわたし
一日中歌ってる
FOR THE GIRL OF INTEGRITY

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♪DAVID
果てしなく広がる街からひとりはなれて
読み返すあなたからの手紙
漂う思い出

David
私たちはこんなに遠い 
時間も場所も
ここへ置いていって
静かな微笑を
遠い日々の歌を

どんなにか辛かった日々ををあなたは見つめた

よく笑いよく泣く あなたの話を聴かせて

David
私たちはこんなに近い
同じ思いで
ここで待っているよ
聴こえるでしょメロディ
みんなで待ってるよ

大きな声で叫びたい あなたの名前を
私の友だち
David

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アルバムの一曲目“THE GIRL OF INTEGRITY”は、まるで矢野顕子のアイデンティティ宣言のような歌。
二曲目の“DAVID”は、結果的に寄り添えなくなってしまった人へ捧げられたような歌だ。不思議と悲しくはない別れのメッセージ。
自由奔放な女の人は素敵だ。もしそんな女性に関わってしまったら、たくさんたくさん振り回されるし、最後にはきっと痛い目に遭うのは間違いない。けれど、それ以上のエネルギーも分け与えてくれる。そもそもそんな人をずっと捕まえておくのは土台無理な話なのだ。だって、いつまでたってもどこにいても何をしても、彼女は彼女自身で、誰のものにもならないのだから。

松任谷由実 / 青いエアメイル

SEASONS COLOURS-秋冬撰曲集-SEASONS COLOURS-秋冬撰曲集-
松任谷由実
1979


♪青いエアメイル
青いエアメイルがポストに落ちたわ
雨が染みぬうちに急いでとりに行くわ
傘をほほでおさえ待ちきれずひらくと
くせのある文字がせつなすぎて歩けない

ときおり届いたこんな知らせさえ
やがては途絶えてしまうのかしら
けれどあなたがずっと好きだわ
時の流れに負けないの

冬は早く来る あなたの町の方が
最後に会ったときのコートを着ていますか
5年 いえ8年たってたずねたなら
声もかけれぬほど輝く人でいてほしい

選ばなかったから失うのだと
悲しい想いが胸をつらぬく
けれどあなたがずっと好きだわ
時の流れに負けないの

けれどあなたがずっと好きだわ
時の流れに負けないの

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今日みたいな雨の日に、ポストにぽとんと音を立てて落ちる、遠く離れた場所からの気持ちを運ぶ手紙。

ある一時期、ある人に、たくさん手紙を書いた。返事が待ち遠しくて毎日ポストを覗いたりもした。もう何を書いたのかさえよく覚えてはいないけれど、誰かに向けて何かを伝えようとすることで、へこたれそうな毎日を持ち堪えられるだけのエネルギーをもらっていたような気がする。

それを書いている間はその人のことを思っている、というところが、手紙の一番素敵なところだと思う。何をどうやって伝えようか、こんな書き方じゃ誤解されるだろうか、そんなことをあれこれと、その人のことを思いながら書く。メッセージの中身以上に「これだけの時間、あなたのことを思っていましたよ。」ということを伝えようとしていたのかもしれない、なんて今になってそう思う。

Norah Jones [Feels Like Home]

Feels Like HomeFeels Like Home
Norah Jones



よく晴れた気持ちのいい一日だった。
用事で朝から出かけた帰り、あてもなくぶらぶら散歩しながら、このままどこか知らないところへ旅に出たくなるような、そんなふっきれたようにさわやかな午後だった。

ナチュラルでしなやかで、ちょっとスモーキーでブルージィな声が素敵な、ノラ・ジョーンズの2ndアルバム『Feels Like Home』は、そんなクールな秋の午後みたいなレコードだ。
グラミー賞を総ナメにしたデビューアルバムがブルーノートレーベルから発売されたこともあって、ノラ・ジョーンズのCDは今もジャズのカテゴリーに入れられしまっているけれど、ジャズ・ヴォーカルなんていう狭いジャンルにとらわれてしまうのはもったいない、良質なアメリカン・ミュージック。自らのピアノ弾き語りを中心にした都会の夜のイメージの1stとは大きく違って、レンガ造りの古い家や野原や干し草の香りのする、トラディショナルでカントリーっぽく、ピアノよりもギターのよく似合うサウンド。それは開放的で心地よく、ノラ・ジョーンズらしさがより出ているように思う。
大ヒットした1stと同じ路線で、ジャズ界の歌姫に収まることも出来たのに、あえて大きく違う質のレコードを作るのは勇気が要ることだ。レコード会社だって反対するだろうし、ファンの支持を得られるかどうかもわからない。でもそんな雑音を撥ね退けても、より自分が自分らしくナチュラルに表現できることを選んだのだのだろう。
歌の巧いだけのお人形さんシンガーには興味がない。いくら声質がよくても音域が広くても技術が巧くても、のっぺらぼうじゃ心の底まで届かない。ノラの声が心の底まで届くのは、結局のところそこに彼女の意志があるからだと思う。

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♪What am I to you
What am I to you
Tell me darling true
To me you are the sea
Vast as you can be
And deep the shade of blue

When you're feeling low
To whom else do you go
See I cry if you hurt
I'd give you my last shirt
Because I love you so

If my sky should fall
Would you even call
Opened up my heart
I never want to part
I'm giving you the ball

When I look in your eyes
I can feel the butterflies
I love you when you're blue
Tell me darlin' true
What am I to you

Yeah well if my sky should fall
Would you even call
Opened up my heart
Never wanna part
I'm giving you the ball

When I look in your eyes
I can feel the butterflies
Could you find a love in me
Could you carve me in a tree
Don't fill my heart with lies

I will you love when you're blue
Tell me darlin' true
What am I to you
What am I to you
What am I to you

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わたしはあなたの何かしら?
ほんとうのことをおしえて
わたしにとってあなたは広く蒼い海

あなたが落ち込んだときは
真っ先にわたしに話して
もしあなたが傷ついたのなら
わたしも泣いてしまう
あなたのためならなんでもできる
だってあなたが好きだから

もしわたしの空が落ちてきそうになったら
きっとあなたの名前を呼ぶわ
心を開いて
離れ離れになりたくない
わたしの大切なものをあなたに預けておきたいの

あなたの瞳を覗き込んだら
まるで蝶々になったみたいな気分
あなたが憂鬱なときも愛しているわ
ほんとうのことをおしえて
わたしはあなたの何かしら?

あなたの瞳を覗き込んだら
まるで蝶々になったみたいな気分
どうかわたしの愛に気づいて
わたしを刻み込んでほしいの
うそでわたしの心をいっぱいにしないで

あなたが憂鬱なときも愛しているわ
ほんとうのことをおしえて
わたしはあなたの何かしら?

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♪Norah Jones & Keith Richards - Love Hurts

The Little Willies [The Little Willies]

The Little Willies The Little Willies
The Little Willies
2006



リトル・ウィリーズ。2006年に突如ニューヨークに現れたカントリー・バンド。そのヴォーカリストはノラ・ジョーンズ。そもそもは気心知れたメンバーでウィリー・ネルソンのカバーをするために集まったお遊びのセッション・バンドだったはずが、メンバー自身よほど居心地が良かったのか、CDまで出してしまったということらしい。
このアルバムから聴こえるノラの声は実に伸び伸びして開放的だ。一夜にしてスーパースターになってしまった戸惑いからつっぱったり背伸びしようとしたりしながら、等身大の自分を見つけたような安堵感。まるで実家に帰って幼なじみの仲間と遊んでいるみたいに。各メンバーの楽器もそれぞれがよく歌い、和気藹々としたハーモニーが心地よい。

長い間、カントリーなんてロックのかっこよさとは対照的なダサい音楽だと思いこんで敬遠してきたけれど、このアルバムを機にはまってしまった。ブルースとも共通する、どうしようもない今を抱ええつつ底辺で生きる人々の、嘆きや悲しみや喜びが生々しく表現された歌の世界を、リラックスしてあっけらかんと演奏する世界がそこにある。

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♪Gotta Get Drunk
Well I gotta get drunk and I sure do dread it
cause I know just what I'm gonna do
I'll start to spend my money
call everybody honey and wind up singing the blues
I'll spend my whole paycheck on some old wreck and brother I can name you a few
But I gotta get drunk and I sure do dread it cause I know just what I'm gonna do

I gotta get drunk I just can't stay sober there's a lot of good people in town
Who'd like to hear me holler see me spend my dollars
And I wouldn't think of lettin' 'em down
There's a lot of doctors that tell me that I'd better start slowin' it down
But there's more old drunkers than there are old doctors
So I guess we'd better have another round

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飲まなきゃやっていられない
どうなってしまうかはよーく知ってる
やたら気前よくなっちゃって
誰かれかまわず手を出して
あげくブルースを歌う羽目になる
稼ぎをどうしようもない下らないことにつぎ込んで
そんな奴を何人も知ってる
けど、飲まなきゃやってられないんだ
どうなってしまうかわかってたって

飲まなきゃやっていられない
いい奴に会うとついつい気前がよくなって
ええかっこしたいだけなんだけど
医者が言うことはいつも同じで
自分を大事にしろ、ってさ
けど、世の中にゃ医者より酔っぱらいの方が断然たくさん
だからさぁ、もういっちょ行くとしようぜ

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♪It's Not You It's Me
I just can't keep going along
Making believe nothing's wrong
It's wrong and it's always gonna be
Nothing you did in any way
Nothing you said or didn't say
It's not you, baby it's me

So keep on being long and tall
Keep on talkin with the same ol' drawl
Keep on baby don't you trip and fall over me

The petals of the daisy drop
You love me then, you love me now
You love me now, it's plain to see
Who keeps the fire burning bright
The one who's losing sleep at night
It ain't you, baby it's me

So keep the rose you never brought
Keep that ring that you never bought
It's all my fault, it's all my fantasy

Oh, but I can't give you no more of myself
'Cuz I'm lookin out for somebody else
It ain't you, baby it's me

Oh, but I can't give you no more of myself
'Cuz I'm lookin' out for somebody else
It ain't you, baby it's me

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もうこれまでね
何も間違いじゃないって信じてきたけど、やっぱり間違いだったのよ
けど、それはあなたのせいじゃない
あなたがこう言ったとかああ言ったとかそんなことじゃなく
あなたのせいじゃなく、あたしのせいなのよ
だから、どうかそのまましっかりと
今までと同じように話してほしい
あたしにつまづいたりしないで

デイジーの花びらは落ちた
あなたは愛してくれたし、今も愛してくれる
それはとってもよくわかる
眠れなくなるくらい 夜中に炎を灯しているのは誰?
それはあなたじゃない、あたしなの

あなたがプレゼントしてくれなかったバラも
あなたがプレゼントしてくれなかった指輪も
そのままとっておいて
あなたのせいじゃない、あたしなの

けど、もうあなたにこの気持ちを捧げることはできないわ
誰かほかのいい人を探すの
それはあなたじゃない、あたしなの

Nanci Griffith / Lonestar State of Mind

Lone Star State of MindLone Star State of Mind
Nanci Griffith



♪Lonestar State of Mind
Your phone call took my by surprise
Gee, it's been a long, long time
Since those hot and humid Texas nights
When we went swimm'n in the tide

Corpus Christi seems so far away
And I'm not talk'n 'bout the miles
And there ain't much I wouldn't give today
Just to see one of your smiles

[Chorus:]
But here I sit alone in Denver
Sipp'n the California wine
And I've got all night to remember you
I'm in a lone star state of mind

I just saw John Wayne on the Late, Late Show
Save the girl and ride away
And I was hoping as the credits rolled
He'd make it back to her someday

[Chorus]

It's a thousand miles or more
From here to your front door
I'd be there tomorrow if I left today
And I'd just pack up my guitar
You know it's really not that far
When you called you said I'd have a place to stay

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あなたからの電話、びっくりしたわ
ほんとに久しぶり
波乗りしていっしょに泳いだ
あの暑く湿気の高いテキサスの夜以来よね

クリスティは遠くへ行っちゃったわね
距離としての遠さのことを言ってるんじゃなくて
あなたの笑顔のひとかけらは
今日のとっても大きな収穫だって思わない?

わたしは今デンバーで一人座って
カリフォルニア・ワインを傾けているの
あなたのことこれからもずっと覚えているわ
あのテキサス魂といっしょにね

ジョン・ウェインをレイト・ショウで見たの
女の子を助けて去っていったわ
エンドロールが回るのを見ながら
彼がいつか彼女の元へ戻ればいいのにと思ったわ

わたしは今デンバーで一人座って
カリフォルニア・ワインを傾けているの
あなたのことこれからもずっと覚えているわ
あのテキサス魂といっしょにね

ここからあなたの扉までは1000マイル以上も離れてるけど
もし今日旅立てば明日には会える
いつでも呼んでよね
ほんとそんなに遠くじゃないのよ
ギターを抱えて行くわ

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日曜日の夜の世界名作劇場のことは先日書いたけれど、実はその後も夢中になって毎週観ていた作品がある。1993年放映の『若草物語 ナンとジョー先生』、「若草物語」で有名なオルコットの『第三若草物語』を原作にした作品だ。高校時代は部活と遊び、大学に入ってからはアルバイト、日曜日の晩にテレビを見る生活からずっと離れていた僕がその年ずっとテレビを観ていたのは、無職になって日雇い生活をしていたからなのだけれど。
『若草物語 ナンとジョー先生』は、とある私設学校を舞台に、おてんば少女ナンを中心に日々起きるいろんな出来事から少年少女たちが成長していくお話。その学校の先生が、若草物語で小説家希望の次女として登場していたジョーなのだ。

たまたま耳にする機会があって、そのカントリーっぽさが大好きになったのがナンシー・グリフィスのこの曲。今は遠く離れている、多感な時期を共に過ごした旧友との友情の歌。アメリカの片田舎の青い空の下、草原と干し草とガタガタ道を走るピックアップトラックとジーンズの匂いと風景が目に浮かぶ。そしてこのギターをかき鳴らして歌うナンシーの姿に、なんとなくナンやジョーの姿がダブってしまう。物語の中のナンみたいに、おてんばで向こう見ずでなんでも自分でやってみなきゃ気がすまない、時にはでしゃばりなくらいの好奇心旺盛な少女。人の痛みがわかる分、優しくて傷つきやすくて、でも根っからの明るさで立ち直りも早くて、そんな姿が周りの人にも勇気を与え、誰からも愛される、そんな少女だったのじゃないだろうか、なんて想像してしまうのだ。ジョーもナンシーもそれからきっとあのひとも。

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♪若草物語 ナンとジョー先生 挿入歌「明日もお天気」

Linda Ronstadt / Silver Threads and Golden Needles

Greatest Hits, Vol. 1 & 2Greatest Hits, Vol. 1 & 2
Linda Ronstadt



♪Silver Threads and Golden Needles
I don't want your lonely mansion with a tear in every room
All I want's the love you promised beneath the haloed moon
But you think I should be happy with your money and your name
And hide myself in sorrow while you play your cheating game

Silver threads and golden needles cannot mend this heart of mine
And I dare not drown my sorrow in the warm glow of your wine
You can't buy my love with money cause I never was that kind
Silver threads and golden needles cannot mend this heart of mine

Silver threads and golden needles cannot mend this heart of mine
And I dare not drown my sorrow in the warm glow of your wine
You can't buy my love with money cause I never was that kind
Silver threads and golden needles cannot mend this heart of mine

Silver threads and golden needles cannot mend this heart of mine

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あなたの涙でいっぱいのマンションなんて要らないわ
私がほしいのはまばゆく輝く月の下で交わす愛の約束なの
やっぱりわたしもあなたの名声やお金に幸せを感じるべきだとあなたは思っているのでしょう
あなたが偽りのゲームをしている間、ほんとの心を隠して

銀の糸や金の針ではわたしの心を繕うなんてできないわ
あなたのぬるくなったワインなんかで酔いつぶれたりはしない
あなたのお金でわたしの愛は買えないわ
わたしはそんな女じゃないから
銀の糸や金の針ではわたしの心を繕うなんてできないの

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カントリー・ロックの歌姫、リンダ・ロンシュタット。
ソロ・アルバムのレコーディングで集まったメンバーを中心にイーグルスが結成されたのをはじめ、当時のカリフォリニアの名うてのミュージシャンたちのいかしたプレイが繰り広げられている。そんな演奏をバックに嬉々として歌うリンダ・ロンシュタットはとびきりチャーミングだった。それはまるで世界中が自分を愛してくれていることを信じきっているような、そんな素直で、危なっかしいくらいのチャーミングさだ。時代は1960年代後半。ハードロックやサイケデリック・ロックといった攻撃的で破壊的な音の嵐が吹き荒れていた時代にぽっかり咲いた可憐な花のような音楽。なんだかんだいっても結構音楽の好みは保守的な僕がもしあの時代に少年だったら、きっとリンダに夢中になったに違いない、なんて思ったりする。

けれど、残念ながら僕らの世代がリンダ・ロンシュタットを知ったのは80年代、30代も半ばを過ぎて、時代から取り残されたかつてのアイドルがなんとか再び過去の栄光を浴びようと濃いメイクで大人の女性へのイメチェンを図ろうとしつつしかもそれが全然マッチしていない、そんなリンダの姿だった。10代後半の少年にとって、彼女は過去に属する、ただの濃いメイクのおばさんでしかなかった。その後もジャズ・スタンダードやメキシコ歌謡やらいろんなものに挑戦しつつ、結局若き日の栄光が戻ることはないまま、半ば引退状態になっていったのだ。
先日、50代半ばのリンダが、エミルー・ハリスとデュエットしている映像を見た。残念ながらじゃじゃ馬っぽい健康的な面影はまるでなく、ぶくぶくに太って声の張りも失われていた。“銀の糸や金の針ではわたしの心を繕うなんてできないの”とやんちゃに歌っていた彼女は、どうしてそんなスピリットを見失ってしまったのだろう。世界中から愛されていると信じきっていたリンダを、世界は容赦なく裏切ったのだ。

チャーミングなリンダの話題とは馴染まないかもしれないが、ボクシングの亀田親子へのバッシングに僕は不快感を感じている。
亀田親子のしたことはアンフェアでとても支持も共感もできるものではない。けど、亀田親子のあのキャラクターを囃子たてあそこまで増長させたのは、マスメディアが作り上げた世間の支持だろう?ついこないだまではみんな彼らの態度を面白がっていたし、それで儲けた奴もたくさんいたはずだ。彼らの派手なパフォーマンスは、世間の期待に応えてのことだった。亀田親子が素直に謝罪できない腹の底にはそんな思いが垣間見える気がする。「おまえらも喜んでたじゃないか」、と。
さんざん調子に乗せて屋根裏に昇らせておいて簡単に梯子をはずすようなテレビ局。あそこまで掌返したような態度が取れるものなのか、とあきれてしまうし、なんだかイヤなものを見たようでとっても後味が悪い。もし彼らが今後立ち直ったとしたら、どうせそれはそれで美談に仕立て上げるんだろう?なんて思ったりもする。

なんにしても世間は他人の人生に責任を取らない。
あのリンダのチャーミングな笑顔は永遠に失われてしまった。
それは成功なんて思いもかけなかった少女が、いつの間にか成功にしがみついてしまっていたから。
おだてられたり、器以上の評価を受けている時は気をつけなきゃいけない。うっかり昇ると梯子をはずされる。

The Rolling Stones / Dead Flowers

Sticky FingersSticky Fingers
The Rolling Stones



♪Dead Flowers
“Dead Flowers”。1971年、ブライアン・ジョーンズを失ったストーンズがミック・テイラーを迎えて再出発した第一弾アルバムに収められたカントリー・ナンバーだ。
YOUTUBEをサーフィンしてたら、キース・リチャードがウィリー・ネルソンと“Dead Flowers”を演奏している映像を見つけた。一緒に映っているのは元ガンズ&ローゼスのギルビー・クラークとカントリーのガース・ブルックス?おそらく“Dead Flowers”をカバーした面々を一堂に会して、という企画らしい。聴こえてくるのはのどかなカントリー・ロック。老人のひなたぼっこのようなのどかな演奏。けれど、この“Dead Flowers”は、ドラッグやドラッグで死んだ女の子を描いたヘヴィな歌だ。とてものどかに和気藹々と演奏するような内容じゃない。そもそも企画自体が完全な「懐メロ番組」のそれだ。
社会への異議や違和感を、あふれんばかりの怒りや衝動や夢や希望や絶望を、激しいビートとともに吐きだしていたロックというひとつの文化は、反逆の象徴として世界中の若者を虜にし、時代に合わせて変化を繰り返し、ありとあらゆるものを飲み込みながら肥大化してきたのだけれど、今やロックもジャズやカントリーやブルースと同じく「伝統芸能」になり「懐メロ」になってしまったということなのだろう。

昔、両親がテレビで「懐メロ」の番組を見ている姿が嫌いだった。完全に過去に属している音楽、過去を思い起こさせる以外に機能しない音楽、そしてそこに流れる「若かった頃を懐かしんで辛い今を忘れましょう」というメッセージ。これから大人になろうとしている少年にとって「今が一番」で「これから先は楽しいことがない」なんていうメッセージをまともに受け取るわけには行かなかったし、そんな年寄りになるのはまっぴらだった。だから、そんな19歳の僕だったなら、この映像でのキースの姿を激しく拒否するのだろう。ロックも地に堕ちた、と。
けれど、40歳の僕はこう思う。
音楽は歳月を重ねるほどに純粋になってゆく。意味性や時代とのしがらみから解かれ、音楽として純化してゆくのだと。きっとそれで良いのだと思う。それは音楽に限らず、年をとればとるほどいろんなものが削ぎ落とされてエレガントになっていけるのだな、と。
なにより、この映像のキースの笑顔は、最高に素敵だと思う。

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Well, when you're sitting there
In your silk upholstered chair
Talking to some rich folks that you know
Well I hope you won't see me
In my ragged company
You know I could never be alone

Take me down little Susie, take me down
I know you think you're the Queen of the Underground
And you can send me dead flowers every morning
Send me dead flower by the mail
Send me dead flowers to my wedding
And I won't forget to put roses on your grave

Well, you're sitting back
In your pink Cadillac
Making bets on Kentucky Derby Day
I'll be in my basement room
With a needle and a spoon
And another girl can take my pain away

Take me down little Susie, take me down
I know you think you're the Queen of the Underground
And you can send me dead flowers every morning
Send me dead flower by the mail
Send me dead flowers to my wedding
And I won't forget to put roses on your grave

Take me down little Susie, take me down
I know you think you're the Queen of the Underground
And you can send me dead flowers every morning
Send me dead flower by the US mail
Say it with dead flowers at my wedding
And I won't forget to put roses on your grave
No I won't forget to put roses on your grave

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絹貼りの椅子に座って金持ちたちのことを話すお前
がらくただらけの俺とはかかわりを持たない方がいいぜ
だって俺が独りでいられるわけはないから

連れてってくれよ、スージー
おまえはまるでアンダーグラウンドの女王様
毎朝俺に枯れた花を贈ってくれないか
毎朝郵便でさ
俺の結婚式に枯れた花を贈ってくれ
おまえの墓に一輪のバラを捧げることを約束するよ

今やおまえは、ピンクのキャデラックの後部座席に座って
ケンタッキー・ダービーの予想を立てている
俺は地下室に針とスプーンを持ち込んで
他の女が俺の苦痛をふっ飛ばしてくれる

連れてってくれよ、スージー
おまえはまるでアンダーグラウンドの女王様
毎朝俺に枯れた花を贈ってくれないか
毎朝郵便でさ
俺の結婚式に枯れた花を贈ってくれ
おまえの墓に一輪のバラを捧げることを約束するよ


StrippedStripped
The Rolling Stones


Peter Wolf / Nothing but Wheel

Sleepless Sleepless
Peter Wolf
2002



Well,I'm past the boulevard
out here underneath the stars
I've been flying past the houses,farms,and fields
leaving all I know back home
rushing through the cold night air
and holding on to nothing but the wheels

staying clear of the interstate
I'm seekin' out those ol' two lines
tryin' to explain the way I feel
till all at once it's half past there
and it's down to just trucks and me
and I'm holding on to nothing but the wheel

I've been trying to drive you off my mind
lately that way maybe I can it all behind

and fourty-one goes on and on
and the lights go winding in the dawn
and the skies the colour now of polished steel
and only thing I know for sure
is that you don't want me anymore
and I'm holding on to nothing but the wheel
and I'm holding on to nothing but the wheel

-------------------------------------------
大通りからすこしはずれた星空の下
いくつもの家や、農場や、畑を通り過ぎてきた
何もかもを故郷に置きざりにして
冷たい風を切って走る
手元には何も残っちゃいない
ただ握り締めるハンドルのほかには

誰もいない州間高速道路
懐かしの2車線道路
この気持ちを何とか説明しようと
俺の心は行ったり来たり
今、ここには俺と俺のトラックだけ
手元には何も残っちゃいない
ただ握り締めるハンドルのほかには

おまえのこと、忘れようとしてきたんだ
でもそんなことしたら
俺は何もかも捨ててしまうことになるんじゃないかって、
最近思うんだ

41号線をひたすら走り続け
夜明けの光が満ちてくる
空が、よく磨かれた鉄の色に染まってゆく
俺にはっきりわかっていることは
おまえともう愛し合えないってこと
手元には何も残っちゃいない
ただ握り締めるハンドルのほかには

----------------------------------
仕事を終えて、小雨の降る明け方の国道を車を走らせていた。とりあえず今週やるべきことはやり終えたという心地よい満足感と、それなりの疲労感とともに。

明け方の国道は長距離トラックであふれかえっている。
幼い男の子はみんな何故か教えもしないのに大型トラックや電車が大好きで、僕も幼い頃「トラックかバスの運転手になりたい」と母に言っていたらしい。遠い土地と土地を結び、人から人へ物を手渡すその仕事には、確かに夢とロマンがある。けれど、現実的には長距離運送は、社会の底辺で行き場をなくした男たちがなすすべもなく選ぶ仕事で、地味で過酷で決して良いとは言えない条件の下に成り立っている。僕たちの便利で快適な暮らしを支える物流は、そんな彼らの地味で過酷な労働に支えられている。

元Jガイルスバンドのピーター・ウルフ、2002年のソロアルバムに収められていた“Nothing but Wheel”。フィドルやスライドギターがアメリカの広大な小麦畑を思い起こさせるカントリー・ソング。ゲストのミック・ジャガーが粘っこいコーラスをシャウトして、ピーターがそれに絡んでいくところなんて最高にカッコイイ。

カントリーやブルースは、社会の底辺に生きる労働者の嘆きと癒しの歌として歌い継がれてきた。
この曲を聴きながら、アメリカの大平原を貫くハイウェイをひた走るトラックの姿を想い浮かべてみた。運転している男の姿や彼の人生を想像し、彼を待つ家族のことを想像した。そして、大平原のように茫洋と横たわる、癒されようのない漠然とした悲しみを想った。

Tom Petty & The Heartbreakers [Southern Accents]

Southern Accents Southern Accents
Tom Petty & the Heartbreakers
1985



♪Southern Accents
There's a southern accent, where I come from
The young'uns call it country
The yankees call it dumb
I got my own way of talkin'
But everything is done, with a southern accent
Where I come from

Now that drunk tank in Atlanta's
Just a motel room to me
Think I might go work Orlando
If them orange groves don't freeze
I got my own way of workin'
But everything is run, with a southern accent
Where I come from

For just a minute there I was dreaming
For just a minute it was all so real
For just a minute she was standing there, with me

There's a dream I keep having
Where my mama comes to me
And kneels down over by the window
And says a prayer for me
I got my own way of prayin'
But everyone's begun
With a southern accent
Where I come from

I got my own way of livin'
But everything gets done
With a southern accent
Where I come from

-------------------------------------
俺は南部なまり
南部の生まれだからな
若い奴等は田舎者と罵り
言葉を話せないと蔑むけれど
俺は俺の話し方で話すのさ
何をやるにしても俺は南部流
南部の生まれだからな

今はアトランタのモーテルで酔い潰れている
オレンジの手袋が凍りつきさえしなければ
オーランドにだって働きにいくさ
それが俺の働き方
けどすべて遠ざかっていく
俺が生まれた南部では

ほんの少しの間、夢を見たんだ
それは確かな感触だった
ほんの少しの間、彼女はそこにいた
俺と一緒に

母さんが窓辺に跪いて祈ってくれた場所
そこにまだ夢はある
俺の祈り方は
南部じゃみんなやってたやり方さ
南部の育ちだからな

俺は俺のやり方で暮らしていくのさ
何をやるにしても俺は南部流
南部の生まれだからな

----------------------------------------------
“片足を墓石に、片足をアクセルにかけている / 俺は生まれながらの反逆者”…そんなシャープなロックンロールからスタートする、トム・ペティの1985年のアルバム『Southern Accents』。いかにも秋らしい風情の穀物の収穫の風景を描いたジャケットとは裏腹に、トム・ペティにしてはファンキーでカラフルな作品で、バーズ直系のフォーク・ロックから一歩踏み出した、ホーンセクションや女性コーラスも多用したソウルフルな仕上がりになっている。
けど、僕がこのアルバムの中で本当にグッとくるのは4曲目の“Southern Accents”とラストの“The Best of Everything”の2曲。カラフルな作品群が逆にモノクロームな風景の浮かぶこの2曲を引き立てている気がする。

“たとえ君が今夜どこにいようとも/君が世界中で一番最高なものを見つけることを願っているよ/君が何を探しているにしたって”(The best of Everything)
“ほんの少しの間、夢を見たんだ/ほんの少しの間、それは確かな感触だった/ほんの少しの間、彼女はそこに居た、俺と一緒に”(Southern Accents)

そんな、祈りにも似たフレーズを、“俺は生まれながらの反逆者”なんてかっこつけてつっぱったフレーズを得意とするクールでニヒルなトムが歌うからこそ、その神経質そうな仮面の奥にある彼の優しさや寂しさがぽろぽろとこぼれ落ちてくるようで、グッときてしまうのです。

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プロフィール

Author:goldenblue
**************

音楽から人生へのいろんな示唆を受けてきた。音楽から得たインフルエンスやインスピレーションを通じて人生の機微を語ってみたいと思った。もっとも、文章で語れない想いだからこそ音楽で表現するのであるからして、到底うまく語ることなどできっこなかったのですが。

『音楽と人生に関する一考察』は
2008年3月にて
一旦完結しました。

2008年4月より
『日々の糧と回心の契機』へ

**************

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